研究課題/領域番号 |
23530161
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
保井 俊之 慶應義塾大学, 先導研究センター, 特任教授 (50567758)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | システムズ・アプローチ / 金融規制監督 / 公共政策 / 行政学 |
研究概要 |
当年度の研究成果としては、日本の金融監督規制の強さに関して、妥当な決定係数の特定と定量化の方法論の構築を行い、モデルの提示を行った。さらに、金融(監督)庁発足以降の15年間の金融行政について、銀行、証券並びに保険の3業種のデータ収集を行い、データベースを構築し、提示したモデルが有意な決定係数を持って、線形回帰モデルで表現できることを相当程度のモデル数の割合で実証した。 まず、すなわち、フッド(1986)の規制-執行の2軸モデルやNonaka & Takeuchi(1986)のCEKIモデル等の先行研究に照らし、行政の規制と執行の強度の関係について、スパイラルモデルを2011年9月に構築した。その上で、そのスパイラルモデルがARIMAモデルを応用した線形回帰式で表現できることを特定し、2012年2月に実証分析を行った。その際、研究開始時に想定された、シュミレーションソフトを使用したプログラミングではなく、時系列データにもとづく回帰分析がモデルの分析に適合することを特定した。 また金融規制監督関数の国際比較については、まず保険分野について、定性的ではあるが、規制と執行の強度に関する比較のマッピングを2011年7月に完成した。また、日本に関するモデル分析については、1980年代後半以降から金融(監督)庁発足以前までの期間における旧大蔵省金融行政の時代の規制と執行に関するデータ収集並びにデータベース化に2012年2月に着手したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画として予定した(1)金融規制監督関数の決定係数の特定、(2)モデルの定式化、(3)日本の金融行政におけるデータ系列の収集、並びに(4)欧米主要国の金融規制監督関数の可視化のうち、(1)並び(2)については完全に達成している。 また(3)については、データの入手及び定量化が比較的容易な金融(監督)庁時代のものについては完全に達成し、実証分析を行っている。データの入手及び定量化が困難な、それ以前のデータについては、今後鋭意収集を行っていく予定であれる。 さらに(4)については、保険分野について、定性的なマッピングが終わっている。今後、定量的データの収集並びにモデルの構築を銀行、証券並びに保険の各分野について鋭意行っていく予定である。 以上の状況に鑑み、当年度の研究計画は概ね達成されたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、当年度に提示した金融規制監督関数のモデルが、金融(監督)庁発足以前の日本の金融行政、並びに欧米主要国の金融行政に良好な適合度を以て適合するかどうかについて、実証分析を行うフェーズを優先的に2012年度前半に実施する。 その次の研究フェーズとして、当研究によって特定された金融規制監督のスパイラルモデルについて、日本の消費者、金融当局者並びに金融機関関係者がどのような選好を示すのか、階層分析法にもとづく定量化を行う調査設計並びに調査実施を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
日本の旧大蔵省時代の金融行政並びに欧米金融当局による規制監督のデータ収集並びにデータベース化を集中的に行うため、大学院生2名を週3日程度非常勤職員として雇用して、データ収集と整理に当たらせる。 さらに、日本の消費者等の金融規制監督選好の定量分析に関する調査計画を立てた上、調査に必要なソフトウェアやデータ読み取り機を購入する。 そして、金融規制監督のスパイラルモデルとこれまでに明らかにした実証分析の結果について、日本公共政策学会等の日本の学会、並びにアジア太平洋エンジニアリング評議会等の海外の学会において成果発表を行うため、国内並びに海外への出張を行う。
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