当年度の研究成果としては日本の金融監督規制の強さに関して妥当な決定係数の特定と定量化の方法論の構築を行いモデルの提示を行った。さらに、金融(監督)庁発足以降の15年間の金融行政について、銀行、証券並びに保険の3業種のデータ収集を行い、データベースを構築し、提示したモデルが有意な決定係数を持って、線形回帰モデルで表現できることを相当程度のモデル数の割合で実証した。 研究期間全体を通じた研究の成果としてはフッド(1986)の規制執行の2軸モデルやNonaka & Takeuchi(1986)のCEKIモデル等の先行研究に照らし、行政の規制と執行の強度の関係について、スパイラルモデルを2011年9月に構築した。その上で、そのスパイラルモデルがARIMAモデルを応用した線形回帰式で表現できることを特定し、2012年2月に実証分析を行った。その際、研究開始時に想定された、シミュレーションソフトを使用したプログラミングではなく、時系列データにもとづく回帰分析がモデルの分析に適合することを特定した。 また金融規制監督関数の国際比較についてはまず保険分野について、定性的ではあるが規制と執行の強度に関する比較のマッピングを2011年7月に完成した。また、日本に関するモデル分析については、1980年代後半以降から金融(監督)庁発足以前までの期間おける旧大蔵省金融行政の時代の規制と執行に開するデータ収集並びにデータベース化に2012年2月に着手した。 以上のような研究成果について、2012年6月に開催された日本公共政策学会の2012年度研究大会において、学会報告を行った。
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