研究課題/領域番号 |
23530164
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
奥 健太郎 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (10512634)
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研究分担者 |
武田 知己 大東文化大学, 法学部, 准教授 (20311897)
河野 康子 法政大学, 法学部, 教授 (40186630)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自民党 / 政策決定 / 55年体制 / 意思決定システム |
研究概要 |
(1)定例研究会の開催 本共同研究の第一の柱は、定例研究会を開催し、そこで各自の得た知見を発表するとともに、知見の融合を図ることで「自民党意思決定システムの形成過程」を多角的に解明することであった。この方針に基づき、2011年度は6回の定例研究会を開催した。 研究報告としては、奥が自民党結党前後の医療政策の決定過程について、武田が昭和20年代の保守政党の政党機関誌の分析、河野は池田内閣期の沖縄問題に対する自民党政権の対応について報告を行った。研究協力者の報告としては、黒澤が国会議事録を用いて昭和20年代~30年代の自民党政調会、総務会の機能変化、矢野が戦前戦後の院外団の実態、村井が科学技術庁の設置過程、岡崎が昭和30年の国会法改正問題、政治思想の観点から相原が「知識人」論について、それぞれ報告した。レビュー報告としては、奥が戦後の利益団体研究の系譜を、岡崎が国会研究の代表的な研究を書評するなどして、研究動向に関する情報をメンバー内で共有する取り組みを行った。(2)資料情報の共有 第二の柱は、資料情報を共有することであり、核となる資料が国立公文書館所蔵の閣議次官会議資料であった。2011年度は研究協力者の協力を得ながら、同資料の閲覧申請と目次部分のデジタル撮影を継続的に行った。撮影の完了したものから順次デジタル媒体に記録(複製)し、メンバー内でこれを共有することができた。これ以外にも重要な一次資料について定例研究会で情報交換し、共同研究としてのメリットを生かした研究活動を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、計画は順調に進展している。まず(1)の「定例研究会」における議論は活発に行われ、その中で「自民党政権の意思決定システムの形成過程」について新たな視角、新たな理論の萌芽を様々発見することができた。 (2)についても、国立公文書館がデジタルカメラでの撮影を2011年度から解禁したことにより、作業は予想以上に進展した。その一方で同館が2011年度から閣議次官会議資料の細目次を作成し、昭和20年代前半のものから公表し始めたことが想定外であった。もしこれが我々の対象とする1950年代全般に及ぶならば、作業内容や細目次作成の範囲を再検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)の定例研究会については、計画通り今後も年6回程度行う予定である。2012年度は研究計画の2年目に入るので、各人の結論到達に近づく研究報告を行うこと目標としたい。(2)の資料情報の共有については、2012年度は自民党職員経験者へのオーラルヒストリーの実施に目途がついたので、研究会内で参加者を募り、継続的にインタビューを実施していく。そこでは、自民党政権の政策決定過程に事務職員がどのような役割を果たしていたのか、ヒヤリングしていきたい。一方、閣議次官会議資料については、公文書館の意向について情報を入手しながら、今後の作業方針について研究会で早急に結論を出したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度最も使用を予定しているが謝金である。これは第一に閣議次官会議資料の閲覧、細目次の撮影、データ整理に必要なものである。第二に、次年度から開始する自民党職員経験者へのオーラルヒストリーについて、テープ起こしに相応な謝金が必要になることを想定している。
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