研究課題/領域番号 |
23530169
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
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キーワード | イタリア・ルネサンス / 人文主義 / 君主の鑑論 / アウグスティヌス / ペトラルカ / 統治論 / 徳論 / マキァヴェッリ |
研究概要 |
2012年度も、2011年度に引き続き、おもに14-16世紀イタリア人文主義における統治進言書にかかわる文献の収集・読解をおこなった。 とくに、ペトラルカ『わが心の秘めたる戦いについて』や『国家を統治する者はいかにしてそれをなすべきか』の読解を通じて、ペトラルカにおけるアウグスティヌスおよびキリスト教の受容と改変を考察した。また、ペトラルカとの対比において、1480年から1513年のイタリア後期人文主義における君主統治論の諸相を考察すべく、昨年度来のポンターノやパトリッツィにくわえて、ミケーレ・サヴォナローラやウベルト・デケンブリオについての情報・文献収集と読解をおこなった。 2013年3月にはイタリア出張をおこない、アンブロシアーナ図書館およびエステンセ図書館において、ボルニオ・ダ・サラやミケーレ・サヴォナローラの未刊行の手稿を閲覧する機会を得た。 以上の研究活動を通じて、イタリア後期人文主義の君主統治論は、キケロ、アリストテレス、アウグスティヌスに加えて、プラトン、ローマのジルの影響をも受けており、同時に、都市ごとの政治史的・政体論的文脈からも影響を受けていることが伺われた。 これらの内容を取り込んだ研究メモを作成しつつ、それを論文草稿へと整えている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
未刊行の手稿をも含めたイタリア人文主義関連の文献収集に時間をとられたことと、それら文献の読解の遅れにより、当初予定していた北方人文主義の統治進言書の収集と読解が、エラスムスやモアの著作を除いて、進展していないことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
残り1年となった研究期間内においては、統治進言書の系譜概略とイタリア人文主義の君主論にかんする論稿を執筆・発表することに傾注し、北方人文主義の統治進言書については、資料収集と読解を少しでも進めることに計画をやや縮小限定するよう変更したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記「今後の研究の推進方策」に記した論稿執筆のための物品や文献の購入・複写費に使用するが、北方人文主義についての資料収集のための旅費、もしくは海外における研究会・学会出席のための旅費に充てる可能性もある。
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