研究課題/領域番号 |
23530171
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵美 早稲田大学, イスラーム地域研究所, 准教授 (00535437)
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キーワード | エジプト / 地域研究 / 政治エリート / 政治学 / アラブ部族 / 議会史 / ナショナリズム / 社会史 |
研究概要 |
本研究の2年目にあたる本年度は、文献調査としては平成23年度から継続して行っているダムルダーシュの『エジプト年代期』とジャバルティーの『伝記と歴史における事績の驚くべきこと』のアラブ部族(シャワルビー家、ダルマッリー家など)に関する記述の抽出をほぼ終えた。そしてそのデータベースソフトへの入力もまたほぼ完了した。 データ自体はまだ完成していないが、そのデータと文献による調査から、イスマーイール政権期において、中西部をルーツとするアラブ部族系の名望家は、デルタ地域など他の地域に権力基盤を移しても、依然として中西部の名望家との交流が維持されていたことが確認された。 現地におけるフィールド調査については、2011年に発生した革命の影響で若干の修正をせざるをえなかった。また予定していたファワーイド族を先祖にもつシャリーフ・ワーリー議員へのインタビューは同氏が革命後に当局に拘束されたため断念した。またエジプト中南部におけるフィールド調査は、革命後悪化した治安情勢が改善されていないため、デルタ地域(メノフィーヤ県)における調査を実施した。この調査ではオラービー革命に次ぐナショナリズムの勃興のきっかけとなったディンシャワーイ事件について、事件現場を訪問して調査を実施し、併せて事件に関する文献も収集した。エジプトナショナリズムの源流となったオラービー革命と立憲期をつなぐ重要な事件を調査することで、研究を深化させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年に突発的に革命が発生したことで生じた23年度の遅れは、平成24年度にほぼ取り戻すことができた。研究対象となるアラブ部族のデータの抽出もほぼ完了したため、研究成果としてまとめる作業に入ることができた。現地調査については革命の影響により若干の変更を余儀なくされたが、研究の目的に沿う形で修正することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も研究は文献と現地調査を通して実施する。計画通りに20世紀前半の立憲期を調査研究する予定である。政党政治が実施されていた当該期間において、アラブ部族系がどのような政治、社会生活を送っていたのか、当時の雑誌や地図なども用いて検証する。また研究の計画段階で予定していたエジプト中南部における現地調査は、治安状態の回復が見込めないため、メノフィーヤ県のディンシャワーイにおける調査を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年の研究費は、主に研究に関係する資料の購入、資料の複写、海外旅費、データベースの整理に使用する予定である。データベースの整理には補助者を雇用することも想定される。
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