研究課題/領域番号 |
23530173
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研究機関 | 新潟国際情報大学 |
研究代表者 |
越智 敏夫 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (20247183)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
2012年秋の米国大統領選挙を前にその存在がクローズアップされている Tea Party(茶会運動)の政治的意義について研究することで、現代アメリカ政治における草の根保守運動を例として市民活動についての現代的意義について政治理論という視角から研究する本研究の初年度である平成23年度においては、第一にアメリカ政治、特に保守主義と市民活動に関する理論的研究を整理することから開始した。 特にアメリカ独立以降の保守主義の文脈において以下のようなものを再検討した。それらは共和主義、市民宗教論、多元的国家論、文化多元主義、「小さな政府」論などである。これらはすべて現在の合衆国の政治を議論するときの重要概念であるが、それらの現在的意義を理念的に検討し、アメリカにおける保守主義のイデオロギー的特質をより広範な文脈において位置づけた。以上のような通史的な理念的検討と並行して、アメリカにおける現在の茶会運動等に関連する言説を検討した。 また茶会運動の重要なイデオロギーを解明する作業として、現職大統領であるオバマ大統領への批判に関する言説を整理した。"Change"をスローガンとして登場したオバマ大統領であるが、2012年の大統領選挙を前にして、その政策は共和党陣営から厳しく批判されてきた。こうした批判的言説について検討することで、現在、その中心にある茶会運動の基本的イデオロギーを確認することが達成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】欄に記入したように、Tea Party(茶会運動)の政治的意義についての理念的研究は計画通り進展させることができた。この領域に関しては当初の予定よりも広範囲な検討がされたと思われ、アメリカ政治のより大きな視角という布置のもとで本運動を検討することが可能となったと思われる。 しかし、平成23年度に予定されていたアメリカ大統領選挙に関する第一回の予備調査、特に共和党候補者選定の初期段階におけるアメリカ各地での実態調査は、本務校における業務予定に若干の変更があったために日程の確保ができなかった。このため、茶会運動の実際を調査する機会は平成24年度の民主党、共和党のそれぞれの候補者による大統領選へと移行させることになった。この遅延は、研究全体の計画にとって重大なものではないが、今後の実地調査の予定等において若干の変更が必要となるものである。以上の点を勘案し、「やや遅れている」と自己評価する次第である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に一定の成果を達成したと思われる理念的、理論的研究も継続させながら、実地研究等によりインタビュー等による実証研究を充実させたい。 平成24年8月にルイジアナ州で開催されるアメリカ政治学会(American Political Science Association:APSA)研究大会では茶会運動に関する多くのパネルが開催されることになっているため、まず本年度本研究大会に参加し、当該分野を専門領域とする研究者と意見交換することで、本研究に多様な視座を導入したい。本研究大会参加と同時に、平成23年度に予定されていた実地調査もおこなう。実証研究の調査として東海岸都市部における茶会運動の調査を予定している。さらに平成25年2月には大統領選後のアメリカにおける茶会運動の趨勢を調査する。特に西海岸都市部における運動の実態を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度から継続している理論研究用図書の購入に次年度も一定額を使用する予定である。 また、【現在までの達成度】および【今後の研究の推進方策】で既述したように、本年度に遂行できなかった実地調査およびAPSA研究大会参加を目的とする平成23年8月のアメリカ合衆国での研究調査のための旅費、滞在費として研究費を使用する予定である。さらに平成24年度2月の渡航調査にも研究費を使用する予定である。その際、政治家、ジャーナリスト、研究者らへのインタビューを予定しているため、インタビュー用物品の購入も予定している。 また、資料等の蓄積も一定量に達したために次年度は資料整理の補助員も雇用する必要があり、そのための人件費も使用する予定である。
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