研究課題/領域番号 |
23530186
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三浦 聡 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10339202)
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キーワード | 国連グローバル・コンパクト / 責任ある経営教育原則(PRME) / グローバル・ガバナンス / 制度起業家 / 制度的営為 / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成25年度は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)に加えて、そのスピンオフ・イニシアティブである「責任ある経営教育原則(Principles for Responsible Management Education)」にも力点を置いて研究活動を行った。 前年度(2012年1月~6月)に行った国連グローバル・コンパクト事務所内PRME事務局における参与観察およびアクション・リサーチを今年度も引き続き、8月から9月にかけて行った。それにより、一方でUNGCに関しては9月下旬にニューヨークにて開催されたグローバル・コンパクト・リーダーズ・サミットの運営に携わりつつ、その準備過程を観察することができた。また他方で、PRMEについてはその直後にスロベニアのブレッドにて開催されたPRMEサミットの準備・運営にも携わった。とくに、同サミットの閉会セッションで採択された宣言の執筆を起草から最終版まで担当し、公式文書の作成過程を体験することができた。以上の経験を踏まえつつ執筆した拙稿(「学会発表」欄参照)を2013年10月に報告した。 また、前年度に執筆した拙稿(Satoshi Miura and Kaoru Kurusu, "Why Do Companies Join the United Nations Global Compact? The Case of Japanese Signatories")に対するコメントを踏まえて修正を行った。同論文が所収予定の論文集(Kiyoteru Tsutsui and Alwyn Lim, eds., Corporate Social Responsibility in a Globalizing World)については、出版社との契約がまとまった(出版時期は未定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一に、以下の三点につき、当初の予想よりも時間がかかっている。1. UNGCに関する参与観察を通じて得られたデータの分析、2. 実証面に関して、各方面に及ぶUNGCの発展のフォロー、3. 理論面に関して、様々な学問領域における新展開のフォロー、4. 実証と理論双方の展開を踏まえつつ、それらを往復するアブダクションに基づく分析枠組の構築。 第二に、上述1にもかかわらず、十分な実証分析を行う上での一次データ(とくに、参与観察を行ったUNGC事務所やPRME事務局側だけでなく、それらと協働する側であるUNGC加盟企業やPRME加盟校などへのインタビュー)が未だに不足しており、UNGCの発展の全体像を生き生きと描き出すに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
一方でウェブを通じて入手可能なUNGCの一次資料に絞ってUNGCの展開をフォローしつつ、他方で最新の理論動向を踏まえた上で分析枠組の構築を目指す。後者を行いつつ実証研究を執筆し、その成果を可及的速やかに報告・刊行する。UNGCやPRMEに関する当事者の見方については、UNGC事務所とPRME事務局のそれを中心にまとめることとし、加盟企業・加盟校などの見方については機会を見て更なるインタビュー調査などを行うことで補いたい。
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