研究課題/領域番号 |
23530196
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
勝間田 弘 早稲田大学, 付置研究所, その他 (40579108)
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キーワード | 国際関係論 / 構成主義 / 東南アジア諸国連合(ASEAN) / 規範 |
研究概要 |
今年度(H24/2012年度)は、事例研究において前進があった。今年度の成果は、国内でのものと海外でのものに分けられる。 まず、国内における研究で達成した成果であるが、事例研究の主要な構成要素の一つである、国際社会におけるASEANのステータスの変化を捉えるという作業において、前に進むことができた。具体的には、国際社会はASEANをどのように評価したのかを分析した。分析においては、大学の図書館が契約しているデータベースを活用した。とくに注目したのは、国際的なメディアはASEANを、どのような文脈でレポートしたかである。国際メディアがASEANの活動を高く評価する文脈でレポートしたならば、国際社会におけるASEANの評価は高かったと考えられるであろう。この作業を通じて、90年代の前半から2000年代の前半にかけて、ASEANの評価がどのように推移していったのかを、暫定的ながら捉えることができた。 次に、海外での研究で達成した成果であるが、東南アジア現地での一次資料の収集および関係者へのインタビューを通じて、有意義な情報が得られた。夏にはインドネシアおよびマレーシアを訪問し「ASEAN安全保障共同体」計画の策定に関与した関係者に、当時のASEANが直面していた課題について聞くことができた。加えて、冬にはシンガポールを訪問し、現地の図書館や資料室で有意義な研究を進められた。特に重点的に足を運んだのは、シンガポール国立大学の図書館である。この図書館は、かつて「東南アジア資料室」にあった資料を書庫に保管しているからである。 以上のような国内および海外における成果は、理論的な発展と表裏一体をなしている。前年度に続き今年度も、理論の整理を進めた。当初のアイデアに則り、社会学の制度論や社会心理学の理論を視野に入れながら、規範の伝播を捉える理論を整理していった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事例研究が進んだのはよいが、実際の原稿執筆については、決して迅速に進んでいるとは言い難い状態にある。ただし、今年度(H24/2012年度)は、海外の学会における論文発表の準備を進めた。とくに年度の後半に、次年度の始めに米国の学会で発表する論文を仕上げていった(2013年4月6日、サンフランシスコで開かれた米国国際学会(ISA)の年次大会において発表)。この論文には、あくまでも一部であるが、上述の研究の成果を反映させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本務校の変更に伴い、一時的に、研究の予定を立てにくい状態にある。着任して間もないために職務スケジュールが不明であり、具体的に、いつ、どこで何ができるのかを予想しにくい。いずれにしても新しい職務との兼ね合いを考慮しながら、研究を着実に進めていく必要がある。今年度とくに重点を置くべきは、以下の三点だといえよう。 第一に、データベースを活用して、国際社会におけるASEANのステータスの変化を捉える作業である。これに関しては、上述のとおり今年度に一定の成果をあげることができた。しかし、更なる分析が必要なことは論をまたない。引き続き国際メディアには関心を向ける。だが、これに加えて、他の分野にも視野を広げるのも一案だと考えている。 第二に、海外での調査である。ASEAN諸国を訪問し、一次資料の収集および関係者へのインタビューを行いたい。ただし、この作業については、上述の理由により具体的な予定を立てにくい状態にある。大学の夏休みや冬休みを効率よく利用して、有意義な研究を進めていきたい。 第三に、原稿の執筆である。事例研究を引き続き進めていくことが重要なのは明らかだが、その成果を原稿に反映させていく作業は急務だといえよう。国内外での学会発表を短期的な目標として、事例研究の成果を記述していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述の通り、今年度の具体的な計画は立てにくい状態にある。そこで、研究費の使用計画も固まっていない、というのが現状である。
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