冷戦時に生じた「二つの中国」問題に対するアジア太平洋諸国家の対応を取り上げ、対立する中国・台湾との間で第三国はどのような外交的対応を取っていたのかについて研究した。1970年代に外交関係のパートナーを中国から台湾に転換した複数国家(豪州、マレーシア、フィリピン、タイ)が、台湾と断交後も民間レベルで経済社会関係を継続するに至った経緯を歴史資料から解明した。1972年の日中国交正常化で生まれた「日本方式」が最も合理的で柔軟、かつ諸国家の面子を保てる方法であり標準的モデルとなった。結論として、アジア地域は自立的な外交的手段で平和的に地域秩序変更を行い、東西冷戦構造の制約を乗り越えた事実を指摘した。
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