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2012 年度 実施状況報告書

脅威と依存―脅威認識の形成に依存関係が与える影響とそのメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23530199
研究機関早稲田大学

研究代表者

植木 千可子(川勝千可子)  早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (50460043)

キーワード国際関係 / 安全保障 / 脅威認識 / 国際研究者交流 米国・日本 / 国際情報交換 米国
研究概要

本研究は、脅威認識と依存の関係を分析を対象にしている。依存関係の有無によって脅威認識の形成にどのように変化を及ぼすの かを明らかにすることを目指している。
具体的な目的としては、第1には、依存と脅威認識との関係を明らかにする。他者に対する脅威認識の形成が、依存関係の有無によっ て変化するかどうかを考察する。脅威認識は、国際関係論における重要な概念であるにも関わらず、十分な研究がされておらず、これ までの研究は応募者の研究を含めて、主に「パワー」を中心に検討されてきた。本研究は、依存という新たな変数に着目し、脅威認識 の形成過程に関する研究をさらに発展させることを目指している。
当該年度は、前年度に特定した米国の対中依存の時期を基礎に研究を進めた。①米国が中国に依存していた時期、②中国 が米国に依存していた時期、③相互依存の関係が存在していた時期の3類型のうち、とくに、米国が安全保障上、中国に依存していたと考えられる①1970-80年代(③の場合)と②2001年以降の米国の対中認識(①)にどのような変化があったかを検討した。さらに、安全保障依存ではないが、米国が財政的に中国に依存した2000年代についても検討した。日本の対中認識についても同様の考察を行った。
具体的な調査・研究としては、日本において過去の政策担当者、政策決定者への聞き取り調査等を実施した。また、米国において同様の聞き取り調査を行うとともに、資料収集等を行った。経済的な依存、財政的な依存は、新しい現象である。米国では「財政問題が最大の国家安全保障上の脅威」と言われていることもあり、この影響を探った。そのため、これまでの安全保障担当者に加えて、通商・貿易政策担当者やビジネス団体の認識も調査した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、昨年度収集した脅威認識の 変遷に関するデータを基に依存関係が存在した時期の認識について、存在しない時期との差異を検討した。依存関係が脅威認識を抑制するという作業仮説について、検証を試みた。
米国、日本、台湾などにおいて資料収集、聞き取り調査が順調に進んだ。

今後の研究の推進方策

依存が脅威認識に作用する場合、考えられるメカニズムは上記「研究実績の概要」で述べた依存関係の類型①②③によってそれぞれ異 なる。米国を例に取ると、①の米国が中国に依存している時期というのは、リアリズムの視点から考えると脆弱性が増し脅威を感じる ことが予想される。②の場合は逆である。③の場合はリアリズムの視点からは①と②の複合形だが、リベラリズムの視点からは脅威認 識が抑制されることが予測される。それぞれの時期にどのような認識が形成されたかによってどのようなメカニズムで脅威認識が形成 されるかが推察される。当該年度は①と③について検討した。
今後は、作業仮説をされに精緻化した上で、聞き取り調査を実施し、speech evidenceなどをもとに依存関係がどのように認識に影響を与えたかを検討する。

次年度の研究費の使用計画

旅費等:米国に渡航し、過去の政策担当者や研究者に対して聞き取り調査を実施し、脅威認識の形成に依存しているという認識が作用 したか否か、どのように作用したかなどを考察する。
日本国内においても過去の政策担当者を中心に聞き取り調査を実施する。
当該年度は、中国など日米以外の国においては資料収集、聞き取り調査を実施しなかたたので、中国、その他の国でも同様の調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 北東アジアの「永い」平和2012

    • 著者名/発表者名
      植木(川勝)千可子
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      勁草書房

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公開日: 2014-07-24  

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