フランスの対アフリカ外交はド・ゴール大統領期に体制が確立された。本研究は、ド・ゴールの下、アフリカ・マダガスカル担当大統領府事務総長としてアフリカ外交を中心的に担ったジャック・フォカールが遺した公文書であるフォカール文書に依拠しながら、外交史を実証的に再構築した。 特に1969年にフランスによるチャド介入を分析した。介入の特徴は軍事要員のみならず行政機構整備を目的とする文民要員(MRA)も同時に派遣したことである。これこそが、独立後の旧植民地諸国との関係維持を目的としたフランスによる、力による覇権だけではない、コーペラシオン概念の具現化である。フォカール文書のさらなる調査を今後の課題とする。
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