研究課題
平成28年度は、本研究課題の最終年度に当たる年であり、これまでの研究成果を研究会での報告や招請講演、書籍に寄稿する論文という形でまとめた。その際の力点は、平成26年度の実績報告書にあるとおり、以下の2つであった。第一は、核兵器の拡散に関する既存の質的研究、量的研究、シミュレーション研究の検討を踏まえ、複合的なモデルを作成することであった。その際、国内政治を重視する近年の研究傾向を反映したモデル作りを進めた。特に、近年注目されるSolingen(2007)の相互依存モデルは、1970年代からの相互依存理論を核拡散の分野に適用したものであるが、中国やインドなど、従来の西側自由主義経済国の間の関係を念頭に置いた相互依存論が、異質な国家の間で展開される核拡散に適用されるかが重要な課題である。昨年度のシンポジウム報告で検討したモデルをさらに精緻化し、"Analyzing Dependence and Conflict in a Heterogeneous World: Computer Simulation and Evolutionary Dynamics"としてSpringer社の書籍の1章として出版される予定である。第二は、核拡散の防止に関する政策研究であり、これについては、北朝鮮やイランの情勢の変化を受けて、京都産業大学において「核拡散とその対応」と題する招待講演を行った。以上の2つの研究成果について、京都産業大学で開催された研究会において、最終年度の研究成果報告を行い、今後の研究展開などについて意見交換を行った。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Masashi Tadokoro, Susumu Egashira, Kazuya Yamamoto eds., Emerging Risks in a World of Heterogeneity (Singapore: Springer)
巻: - ページ: Chapter 3