研究課題/領域番号 |
23530208
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
吉松 秀孝 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (90300839)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 東アジア / 機能的協力 / 環境保全 / 食料備蓄 / 政策ネットワーク |
研究概要 |
本年度は、本研究の分析枠組みの構築に努めた。本研究は東アジアにおける機能的分野での地域協力の推進プロセスに影響を与えた諸要因を解明することであり、特に主要アクター間の政治的相互作用とその背景にある政策選好、非国家主体が参画した脱国家的政策ネットワークがそうした要因の中核とみなす。23年度の研究を通して新現実主義に依拠する主要アクター間の利益を巡る政治的相互作用が主要な独立変数となること、同時にアクターの利益形成を巡る国内要因に着目する必要があると思料するに至った。また、脱国家ネットワークを非国家主体が参画した政策ネットワークとして概念化し、研究者・シンクタンクによって形成されるエピステミック・政策ネットワークが重要であることが明らかになった。さらに、制度構築のプロセスにおいて特定の時期に制度化に向けた動きが大きく進展しており、こうした時期の動きに特に焦点を当てて考察することが必要であるとの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要アクター間の政治的相互作用、非国家主体が参画した政策ネットワーク、歴史的経路プロセスを柱として分析枠組みの構築を終えている。年度末にかけて予定していた国内での聞き取り調査が実施できなかったが、24年度早々に実施することでこの遅れは十分に取り戻せると考える。困難が予想された分析枠組みの構築ができたことで、おおむね順調な進展状況であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
構築した分析枠組みの下で実証分析を進める。まず、東アジア緊急コメ備蓄制度(EAERR)という食料安全保障のために協力制度がどのように構築されていったかを分析する。特に2001年の同構想の提案から2011年のASEAN+3緊急コメ備蓄制度(APTERR)という形での制度の完成までのプロセスを丹念に追っていく。環境分野では2001年に本格稼働が始まった東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)の構想段階から「EANET強化のための文書」が採択された2010年までの発展経過を追っていく。実証の第3の柱であるエネルギー分野については分析対象となる協力制度が十分には確立していないことがこれまでの研究を通じて明らかになり、事例として適切であるかを十分に見極める必要がある。もし適切ではないという結論に至った場合には、地域制度に向けた動きが近年加速している貿易分野を代替事例として考える。東アジアにおける機能的分野での協力制度の発展を事例間で比較検討することで同地域での地域主義(ひいては共同体形成)の発展に向けた推進要因を考察する。また、欧州に代表される他地域での地域主義・地域ガバナンスのあり方との比較を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度の主要な研究活動であった分析枠組みの構築に時間を要したため、海外での調査研究が予定より短くなり、また年度の後半に予定していた国内での聞き取り調査が実施できなかった。そのため、次年度への繰り越しが生じた。24年度早々に国内での聞き取り調査を実施するために国内旅費を使用する。また、東南アジア・中国において現地の研究者との意見交換を含めた聞き取り調査を実施し、そのための外国旅費を使用する計画である。次年度の研究費の主な使用計画は以下のとおりである。 関連書籍の購入費、携帯型パソコン一式購入のための設備備品費、東京での聞き取り調査のための国内旅費、東南アジア・中国での聞き取り調査のための外国旅費
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