今年度は研究の最終年度に当たるため、昨年度まで進めてきた理論的考察および実証分析の成果を著書の形にまとめ上げることに専念した。年度初めに著書出版に向けたプロポーザルを英国の出版社に提出、査読者から本研究をより包括的なものとするため実証分析の章を増やす必要性を指摘された。そのため、既存の事例との比較が可能となる新たな事例を選び出し、東京および韓国・ソウルにおいて追加の聞き取り・文献調査を実施、追加の機能的分野における地域協力の実態と課題、主要国の政策選好と相互作用、ガバナンス形成に向けた非国家アクターの関与と影響について実証情報を収集した。また、本研究で取り上げた1つの機能的分野での制度構築の実態と課題に関する実証分析に関する論文を、英国・ノッティンガムにおいて9月に開催された東アジア研究合同学会において発表した。その後著書出版に向けて理論・実証両面での内容の精緻化に努め、最終原稿を11月に出版社に提出、1月以降数度の校正プロセスを経て2014年5月に単著として出版する予定である。このように質の高い学術書としての出版という本研究の当初目標を達成することができた。さらなる研究成果として、環境保全、食料備蓄、エネルギーという3分野での制度構築のプロセスを比較・検討した論文をまとめあげ、査読つき学術雑誌に投稿中である。
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