研究課題/領域番号 |
23530210
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
原本 知実 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (20558100)
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研究分担者 |
星野 俊也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
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キーワード | 文化遺産 / 平和構築 / 越境性 / 国際公共政策 / 戦争 |
研究概要 |
本研究では越境性を有する文化遺産をめぐる複数の政治主体(国家主体、非国家・準国家主体)の、越境文化遺産に関する所有と保護に関する政治主体間の行動を概念的に類型化を行い、さらにそれぞれに適合する具体的な事例を取り上げる。この研究は現地調査研究を基に進めていく。 今年度は国家主体と非国家主体において戦後に平和的に活用されている文化遺産の保護を中心に研究を行った。研究計画ではこの後、イスラエルのエルサレムなど文化遺産が紛争の火種となっているものを調査する予定であり、そのための比較として最も適していると言える平和的な活用の事例であるポーランドのアウシュビッツを訪問した。 アウシュビッツは既に調査を実施したコソボなどとは異なり、戦争の悲惨な証拠であるにもかかわらず保存が多数の主体の関わりの基でうまく進められており、かつその展示はどの主体の意見にも偏り新たな火種になることを避けるために行われている。コソボやイスラエルなどが平和的に越境文化遺産を保護していくためにはどのような方法を持つことができるのかを検討する上での重要な比較を行うことができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては政治的に問題を抱えた越境性をもつ文化遺産の現地調査、特に保護当事者などにインタビューを行うことが不可欠である。そのため研究計画の中でもイスラエルやカンボジア・タイでの調査を予定していた。こうした場所での調査では安全にかつ効果的な成果のためには十分な事前準備が必要である。しかしながら平成25年度は業務において多忙であったためこうした準備に十分な時間を割くことができず、現地調査を実行することがかなわなかった。このことにより達成度は遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を遂行するにあたり不可欠と言える調査対象のエルサレム旧市街の調査を計画している。本来であれば既に調査しておく必要があったが、一昨年度のコソボや今年度アウシュビッツの調査を土台にすることで、有効な成果が期待できると考えられている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画で予定していたイスラエルへの現地調査を実行することができなかったため イスラエルにおいてエルサレムを中心とした越境文化遺産の現地調査を行うとともに最終報告書を作成する
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