越境文化遺産に関与する複数の政治主体の所有権の主張や保護に向けた姿勢が同様な事例であっても、それぞれの事例ごとに問題の顕在化の仕方、文化遺産の扱い、将来的な問題解決の手法等はそれぞれの事例で異なっていた。こうした違いは、当該文化遺産に対する当該芸術的価値・社会的価値の認識の度合いの違いや、当該文化遺産に対する保護に消極的な政治主体の消極性の度合い(不敬から憎悪・嫌悪までの様々な段階)によるものと考えられた。また、この点を分析・考慮する事で、文化遺産の保護と平和的活用に向けた政策提言に活用できるとの結論に至った。
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