研究課題/領域番号 |
23530211
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
工藤 教孝 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80334598)
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研究分担者 |
尾山 大輔 東京大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (00436742)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | サーチ理論 / 摩擦的労働市場 / グローバル化 |
研究概要 |
平成23年度は「財市場と労働市場の相互フィードバックと戦略的補完性」という副テーマを追求し、財市場が独占的競争状態であるだけでなく労働市場も摩擦的失業が発生するような経済に関する理論分析を行った。そのような理論モデルの開発はまだ学会でも発展途上段階にあり、学術的な重要度は非常に高い。 平成23年度中は特に、そのような経済においてグローバル化が進むと産業構造に対してどのような影響があるのかについて分析を行い、グローバル化の度合いと製造業規模の間に非単調(non-monotonic)な関係を発見した。その成果はLabor Market Frictions and Industrial Structures in a Global Economyという論文にまとめながら、国内外の学会や研究会(招待講演を含む)で発表した。 本研究はサーチ理論という分析手法を用いるため、サーチ理論に特化した国際研究集会International Workshop on Search Frictions and Labor Market Dynamicsを北海道大学にて平成23年1月27日に開催し、国内外から本研究課題に関連した研究を進めている研究者を招へいし、本研究成果について議論を行った。 本研究成果によって、財市場も労働市場も同時に不完全競争状態になっているような経済について分析を進めるための足掛かりを得たので、今後関連するテーマでさらなる研究成果につながるという意味で、非常に重要な成果であったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、平成23年度中に「財市場と労働市場の相互フィードバックと戦略的補完性」という副テーマに関する研究を完了して「金融市場における戦略的補完性とレジームシフト」という次の副テーマに本格着手する計画であったが、第2の副テーマの本格的な分析は平成24年度にもちこされた。その一方で、第1の副テーマについては、グローバル化と産業構造に関する研究の進展があり、これは当初の計画を超えたものであった。計画以下の面と計画以上の面があるという意味で、おおむね順調であると判断できる。また、国際研究集会を開くという目標も達成した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に残された期間は平成24年度と平成25年度であるが、研究代表者が平成24年度に半年間の研究専念期間(サバティカル)を本務校より得たため、その期間を最大限に活用して本研究を遂行する計画である。平成24年度を、本研究を推進させるための最重要年度と位置づけ、分析をすすめるだけでなく、国内外で研究発表を行う機会を得る予定である。 平成23年度同様に、研究代表者と分担者が定期的に会合を開き、本研究に関わる副テーマについて分析を進め、論文の形にまとめて国際ジャーナルに投稿する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度未使用額が発生した理由は、年度中に開催した国際研究集会の規模が当初計画よりも小さなものになったことで、招へいする研究者の人数が減り、旅費の使用が抑えられたことが挙げられる。 研究代表者は平成24年度の秋に2か月程度ヨーロッパに滞在して本研究を遂行する計画であるので、研究費の多くを出張旅費とする計画である。23年度未使用額はヨーロッパ出張旅費の一部として利用する計画である。
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