研究課題/領域番号 |
23530213
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 明宏 山形大学, 人文学部, 准教授 (30312721)
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研究分担者 |
西平 直史 山形大学, 人文学部, 准教授 (70344778)
高橋 広雅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80352540)
小川 一仁 関西大学, 社会学部, 准教授 (50405487)
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キーワード | 利他的行動 / 経済実験 / 携帯電話 / 寄付 |
研究概要 |
実験用プログラムについては外部業者に委託し、囚人のジレンマやオークションなど簡単なものについて一応稼働できる状態となっている。ただし、動作確認やセキュリティのチェックが必要なため、現在のところ共同研究者や協力者にのみ公開しており、ベータ版としての限定的な公開と一般向けの公開はその後の予定である。また、研究発表欄に挙げた論文を執筆し、公表している。 「Non-Monetary Punishmentに対する互恵性の存在とその影響」では、一方的最後通牒ゲームと呼ばれるゲームに関する実験を行っている。一方的最後通牒ゲームは通常の最後通牒ゲーム(最後通牒ゲームは提案者が分配案を提示し、応答者は提案を受諾するかどうかを決めるゲームであり、応答者が拒否した場合には2人とも何ももらえない)と異なり、応答者が拒否しても応答者への分配額のみがゼロとなり、提案者への分配額は提案した金額となる。この実験では、同じ二人の被験者間で繰り返し行う条件と、毎回異なる相手と繰り返し行う条件を比較することで、提案者が金銭を分配するときにnon-monetary punishmentに対する互恵性が存在するかどうかを検討した。実験の結果、一つ目の条件では応答者が提案を承諾すると拒否した場合よりも提案者は次のラウンドで高い分配額を提案するが,二つ目の条件ではそうならないことがわかった。この結果は、金銭を分配する人々の行動がnon-monetary punishmentに影響を受け、さらに互恵的に振る舞うことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験用のプログラムは一応完成したが、動作確認やセキュリティ関連のチェックが進んでいないため、一般公開について遅れが見られる。プログラムが不要な部分の実験の実施についてはほぼ予定通り行えたが、実施時期がずれたためサンプル数が不足しており追加実験が必要となっている。また、石巻専修大学で行っていた実験は種々の状況を鑑みるに継続が困難なことと協力者が他大学に移籍したため、実施場所を変更する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
協力してくれる研究者の所属する研究機関については震災の影響が甚大であったこともあり予定していた実験がこなせなかったが、協力研究者が他大学に移籍したためそこを会場として実験を行う予定である。プログラムについては一応完成したため、動作確認等の試験を行いつつ早めにデータをとり結果をとりまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
携帯電話用の実験プログラムについて完成度が低く実使用に支障があったため、プログラムが必要な部分についての実験実施が進まなかったことが要因である。改善するよう外部に発注したため、今年度については実施可能な見込みである。 携帯電話用の実験プログラムを用いた実験実施に伴う参加者への謝金、実験に必要な参加者への説明資料等の印刷、実施会場への実験者の移動や成果報告の為の旅費に用いられる。
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