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2011 年度 実施状況報告書

貨幣経済の脆弱性と均衡選択

研究課題

研究課題/領域番号 23530214
研究機関東京大学

研究代表者

神谷 和也  東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50201439)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード貨幣 / ワルラス均衡 / 非決定性 / 脆弱性
研究概要

貨幣経済の脆弱性の理論分析と脆弱性と決定性に関する予備実験を行った。理論分析については、具体的には貨幣保有分布が連続分布である場合に、貨幣的均衡が非決定(連続無限個の均衡の存在)することを示した。また、サーチ環境でない場合(Cash-in-Advanceのワルラス均衡モデル)において均衡が非決定になる例を示し、またこの場合の非決定性の一般理論を構築した。また、均衡を決定化するための政策を分析した。政策は貨幣を用いたある種の税‐補助金政策であり、均衡を決定化すると同時に効率的な配分を実現することができる。 実験については、文献を整理・検討したうえで予備実験を実施した。具体的には、Zhou (1999)と類似の環境を設定し20名の被験者による実験を実施した。被験者をランダムにマッチさせ、さらに各ペアを売り手と買い手にランダムに分ける。売り手は財価格を提示し、買い手はそれを受け入れるか拒否するかを決める。受け入れる場合は取引が成立し貨幣が移動し、受け入れない場合は取引は成立せず貨幣は移動しない。これを繰り返し、ランダムに実験を終了する。被験者は実験における環境をよく理解し、実験は極めてうまく機能した。今後は、実験用の言語であるZ-Treeを使ってプログラムを実装し実験を多数回繰り返す。これにより、実験環境において貨幣経済に脆弱性が存在するか、あるいはフォーカル・ポイントが存在して実験的には脆弱性が存在しないかが明らかになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論分析については、計画通り進展した。実験については計画より早く研究は進展し、予備実験を行うことができた。シミュレーション分析は遅れているが、シミュレーションを行うことなく理論分析を進めることができたので問題はない。

今後の研究の推進方策

まず、理論分析を行う。具体的には、均衡選択の理論とサイクル解の分析を行う。具体的には、オークション市場やサーチ市場における分析を行うことになる。 次に、実験用の言語であるZ-Treeを使ってサーチモデルの実験プログラムを実装する。これにより実験を多数回繰り返すことが可能になり、実験環境において貨幣経済に脆弱性が存在するか、あるいはフォーカル・ポイントが存在して実験的には脆弱性が存在しないかが明らかになる。

次年度の研究費の使用計画

国内外にいる研究者と共同で研究を行うため、ある程度は旅費に使用する。また、今年度ほとんど行わなかったシミュレーション分析のためパーソナルコンピューターを購入する。最後に、可能なら実験を行い、被験者への謝金に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Stationary Monetary Equilibria with Strictly Increasing Value Functions and Non-Discrete Money Holdings Distributions: An Indeterminacy Result2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Kamiya and Takashi Shimizu
    • 雑誌名

      Journal of Economic Theory

      巻: 146 ページ: 2140-2150

    • DOI

      10.1016/j.jet.2011.05.012

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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