研究課題
貨幣経済の脆弱性および、無限個存在する均衡からのfocal pointの選択に関する実験モデルを構築した。サーチモデルでは無限人のagentがいる経済を前提とするが、実験では有限人の経済を想定することになる。したがって、無限人いることによる平均効果を、実験では期待できない。そこで、平均効果がなくても、無限人いる場合と同様の効果を期待できる状況を作り出す必要がある。今年度はこの問題を検討し、限定的ではあるがそのような状況を作り出すことができることを示した。特に、貨幣保有分布のサポート(台)が2点になる場合には、この問題が発生しないことを発見した。さらに、サポートが2点になるための必要十分条件を特定化した。また、無限人経済を有限人経済で近似することに伴う問題点を特定化し、その解決方法を検討した。特に、ランダム・マッチングの方法を工夫することによって、この問題に一定の解決を与えることができることを示した。つまり、有限人の場合には、完全なランダムマッチングではなく、マッチングに特殊な構造を入れることにより、この問題を解決する方法を発見した。貨幣経済におけるオークション市場、ワルラス市場、マッチング環境などの関係について研究を継続し、いくつかの結果を得た。特に、貨幣を含むワルラス市場における均衡の非決定性について研究を進め、非決定性が発生する例をいくつか発見した。またその論理について研究を進め、いくつかの興味深い結論を得た。
2: おおむね順調に進展している
貨幣経済の脆弱性、均衡の非決定性、およびフォーカルポイントによる均衡選択について結果を導く方法を開発した。これにより、この問題に関し一定の解決を与える方法を提示できた。
均衡選択の問題に関し、理論、実験の両面から研究を進める。特に、サーチ環境における均衡選択の問題に関し、一定の結論を出す方向で研究を進める。
すべて 2014 2013
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Journal of Money, Credit, and BAnking
巻: 45 ページ: 349-378
10.1111/jmcb.12005