研究課題
理論研究:シンガポール国立大学のChew Soo Hong教授との共同研究を継続した。リスクの評価関数は確率に関する評価と結果に関する評価に分けて考えるのが通常であり,結果に関する評価関数部分に社会的選好を導入することが本研究の出発点であった。それを実験的に検証するためには,評価関数部分のみに社会的選好を導入した場合とそうでない場合とを区別できるような機能を備えたリスク姿勢の測度を開発する必要がある。そのため,本年度の理論研究では,Schur-Concavityを応用したリスク回避測定法に着目し,他者の存在がリスク判断に介入する場合に応用する方法を提案するに至った。実験研究:確率関数に他者の関与を示唆する実験には,2通りのアプローチが考えられる。1つは自分と他者の所得に影響するリスクを外生的に与えた場合と他者がリスク生成にも関与する内生リスクを与えた場合とで,リスク判断の結果生じた行動選択に差が生じるかを観察することである。評価関数のみに社会的選好が関与する場合には,両者で差が生じないはずであるが,実験では両者に差があることを確認し,ゲーム的状況下で生成されるリスクを"interactive risk"と呼んで前者と区別する必要を指摘し,論文にまとめた。2つ目は,他者の存在が影響するリスクを外生的に与えた場合と他者がリスク生成にも関与する内生リスクを与えた場合とで,今年度の理論研究で着想したSchr-Concavityを応用したリスク判定測度を使って直接測定するアプローチである。その方法による実験をデザインし,本実験を実施した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Behavioral Interactions, Markets, and Economic Dynamics: Topics in Behavioral Economics
巻: Part 5, Chapter 14 ページ: 399-418
10.1007/978-4-431-55501-8_14
Staff Paper, Department of Economics and Law, Shinshu University
巻: 16-01 ページ: 1-40
人間行動と市場デザイン
巻: 第4章 ページ: 81-121
経済セミナー
巻: 10・11月号 ページ: 50-54