本研究では、「消費分散選好(満足度の高い消費と低い消費を交互に繰り返す傾向)」に関する応用理論分析を行った。第一に、クールノー寡占無限期間繰り返しゲームを「Gain」と「Loss」を別の割引因子で割り引く「消費分散選好」型の効用関数を用いて分析した。この結果、カルテルが形成されるためには「Lossを割り引く因子」が決定的な役割を果たすことを証明した。第二に、「消費分散選好」を用いて世代交代モデルに基づく成長論を分析した。この結果、労働集約的な経済においては、強い「消費分散選好」を持つ経済主体の最適な投資行動が「毎期同じ量の消費を確保するように投資する」ことである点を導出した。
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