研究課題
平成25年の研究では、まず2部門および3部門の内生的成長モデルを設定し、各部門が生産する消費財ごとに異なる程度の外生的習慣形成が付随するという仮定のもとで、需要構造の変化が経済の構造変化と長期的成長に与える効果を分析した。その結果、モデルに含まれるパラメタの値を現実的な値に設定をすると、現実に多くの国でみられる産業構造のの変化のパターンがうまく説明できることを確認した。また25年度に引き続き、開放経の構造変化についても研究を続け、貿易構造の変化と経済成長の関係についていくつかの新しい理論的結果を得た。23年から25年までの期間全体を通じて得た成果の主要なものは以下の3点である。(1)消費の外生的習慣形成を含む非相似型の効用関数がもたらす需要構造の変化が、経済構造と長期的成長に与える効果の分析。(2)貿易構造の違いが構造変化に及ぼす長期的な影響の検討。(3)需要構造の変化が経済の安定性に及ぼす効果の分析。(1)については、消費の外部性の存在を仮定することにより、実証的に確認されている構造変化のパターンが数値的に再現できることが確認できた。また(2)については、貿易構造、特に国際間の資本移動の程度が経済構造の決定に与える影響が極めて大きいことを理論的に示した。(3)に関しては、選好構造の特定化の仕方が、生産部門間の資源配分と経済の動学的振る舞いに本質的な影響を与えることを明らかにした。以上の3年間の研究で得られた主要な成果は、いずれも論文のかたちにまとめ、各種の学会や研究集会で報告してコメントを得た。それらの論文はいずれも査読誌に投稿をしたが、それらの多くは採択されて既に掲載されたか、あるいは掲載予定になっている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Journal of International Economics
巻: Vol. 90, No.2 ページ: 414-424
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Journal of Economics
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