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2011 年度 実施状況報告書

均衡的現象としての貨幣・コミュニケーションの分析

研究課題

研究課題/領域番号 23530233
研究機関関西大学

研究代表者

清水 崇  関西大学, 経済学部, 准教授 (80323468)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード貨幣 / コミュニケーション / サーチ・モデル / チープ・トーク・モデル / 説得モデル / 定常均衡の非決定性 / 受け手の情報 / 立証可能性
研究概要

貨幣理論方面では"Dynamic Auction Markets with Fiat Money"と" Hysteresis in Dynamic General Equilibrium Models with Cash-in-Advance Constraint"の改訂を行い、貨幣モデルの定常均衡の決定要因についてより詳細な結果が得た。より具体的には、"Dynamic..."では、貨幣サーチ・モデルで見られる定常均衡の非決定性が集権的・分権的オークション市場においても発生しうることを示し、集権的取引が定常均衡の決定要因に必ずしもならないことを示した。また" Hysteresis..."では、ワルラス市場においても定常的サイクルをもつ均衡が無数に存在することを示した。  コミュニケーション理論方面では" Cheap Talk with an Informed Receiver"の改訂を行うとともに"Can More Information Facilitate Communication?"を完成させた。これらでは情報の受け手が持つ私的情報がコミュニケーションに与える影響について分析を行い、それぞれマイナスの影響を持つケースとプラスの影響を持つケースとを提示した。 また"Cheap Talk with an Exit Option: A Model of Exit and Voice"の改訂を行い、発言・退出メカニズムのより詳細な結果が得られた。より具体的にはチープ・トーク・モデルにおいて情報の送り手が退出のオプションを持つことによってより発言の効果が強くなることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

貨幣理論方面では、既存の論文の改訂を行ったことにより従来得られていた分析をさらに詳細にすることができた。一方で、新しい方向性についてはあまり進展がなかった。特に既存論文"Stationary Monetary Equilibria with Strictly Increasing Value Functions and Non-Discrete Money Holdings Distributions: An Indeterminacy Result"の拡張が遅れている。 一方、コミュニケーション理論方面については一定の進展が見られた。特に情報の受け手が持つ私的情報がコミュニケーションに与える影響についての基礎的な分析に成功した。このことによりより一般的な状況への見通しが得られた。

今後の研究の推進方策

貨幣理論方面では、何より前述の拡張を優先的に進め、さらには均衡径路外の動学分析や政策的含意を得るよう企図する。 コミュニケーション理論方面については、前述の報の受け手が持つ私的情報がコミュニケーションに与える影響についてより包括的な分析を行うことによって、効率的コミュニケーションの決定要因を明らかにする。またこれとともに、費用をかけることによりメッセージの立証可能性を高められるモデルを構築し、従来のチープ・トーク・モデルと説得モデルを統一的な視座から分析する。

次年度の研究費の使用計画

消耗品費:当研究に関係するゲーム理論関係書籍、貨幣理論関係書籍の購入に充てる。旅費:海外での成果報告や研究者との交流、国内の研究者との共同研究打ち合わせに充てる。謝金等:英文の校閲に充てる。なお次年度繰越金が生じた理由としては、学内での業務の都合により、当初の計画で予定していた海外での学会への出席ができなかったことが挙げられる。この次年度繰越金については、次年度の旅費に繰りこんで支出する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Can More Information Facilitate Communication?2012

    • 著者名/発表者名
      Junichiro Ishida and Takashi Shimizu
    • 雑誌名

      ISER Discussion Paper, Osaka University

      巻: No.839

  • [雑誌論文] Stationary Monetary Equilibria with Strictly Increasing Value Functions and Non-Discrete Money Holdings Distributions: An Indeterminacy Result2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Kamiya and Takashi Shimizu
    • 雑誌名

      Journal of Economic Theory

      巻: 146 ページ: 2140-2150

    • DOI

      10.1016/j.jet.2011.05.012

    • 査読あり
  • [学会発表] Can More Information Facilitate Communication?2011

    • 著者名/発表者名
      清水崇
    • 学会等名
      第17回DCコンファレンス
    • 発表場所
      筑波大学(茨城県)
    • 年月日
      2011年9月17日

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公開日: 2013-07-10  

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