本研究の目的は、人々が「適応的学習」によって期待形成するとき、金融市場の不完全性がマクロ経済の性質および金融政策の有効性にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。平成26年度は、交付申請書「研究の目的 テーマⅣ」について分析するとともに、これまでの研究成果の発表、および前年度から開始した外国研究者と共同研究を進めた。 第1に、「研究の目的 テーマⅣ」として、前年度に取り組んだ課題(テーマⅢ)で開発した金融マクロ経済モデルを拡張し、金融市場の不完全性において投資家が互いの行動を観察して適応的学習をおこなう(横並び行動)状況を分析した。 第2に、前年度の研究成果を関西大学ワーキング・ペーパーで発表するとともに、国際経済雑誌であるJournal of Economic Dynamics and Control(査読付き)に投稿した。投稿論文は修正条件付きで採択されたため、得られたレフェリーコメントを参考にして投稿論文の分析内容を修正・改善した。修正された論文は、年度内に上の経済雑誌に再投稿することができた。 第3に、前年度に留学した米国オレゴン大学の研究者George W. Evans教授およびBruce McGough准教授とともに、滞在中に開始した適応的学習におけるマクロ経済の安定性についての共同研究を進行させた。さらに、27年1月に再びオレゴン大学に滞在し、研究の中間結果について両研究者と意見交換した。
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