研究課題/領域番号 |
23530239
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹澤 祐丈 京都大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (60362571)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ハリントン / 共和主義思想 / 英国共和主義 / オランダ共和主義 / 共和主義の経済思想 / デ・ラ・クール兄弟 / ニーダム / 国際情報交換 |
研究概要 |
研究の第一年度である本年度は、次の四つを課題として設定した。第一に、ハリントンの経済思想に関する先行研究を網羅的に把握することであった。この作業では、特に「利益」と「財産・所有」という概念に関する解釈がどのような点で分岐し、どのようなテクスト上の根拠を有するものとして示されていたのかを理解することに重点を置いた。その理由は、ハリントンの経済思想に関する従来の解釈の多くが外在的に理解される傾向を持っていることを明確に把握することが研究史上、重要と考えるからである。その結果、それらの外在的解釈が根拠とするハリントンのテクスト上の箇所にはある種の傾向性と偏りが存在することが明確に把握された。この点は、これからの2年度にわたって研究を進めるうえでの指針の作成のために大変有益であった。 第二の課題は、ハリントンの著作の再読であり、これも予定通り、進めることができた。この作業による成果は、以前に発表した口頭発表の論文化の作業の中に組み込むことができた。 第三と第四の課題は、オランダ共和主義思想とデ・ラ・クール兄弟に関する先行研究を把握し、研究上の論点を確定する作業であった。この作業は、英蘭共和主義思想の比較を主軸とする本研究にとって非常に重要であるにもかかわらず、これまで網羅的になされることがなかったテーマであった。これらの作業はジャーナル論文を中心に予定通り遂行されたが、2011年度前半に公刊が予告されていたオランダ共和主義思想に関する重要な書籍のいくつかの出版が遅延され、その入手が遅れたため、それらの分析がやや遅れている。なおこの作業のため、ポツダムでのハリントン400周年記念学会での様々な研究者との意見交換が大変有益であった。 本年度の具体的成果は、シンポジウムでの発表が2件、学会発表が1件、論文が1件であり、順調に研究成果の公表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも言及したが、オランダ共和主義思想に関する重要な書籍のいくつかの刊行が遅れたので、それらの文献の分析作業を年度内に終えることができなかったことを除けば順調に進捗しているので、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
オランダ共和主義思想の実態解明作業の遅れを取り戻しつつ、文献研究と、海外資料調査、ならびに内外の関連研究者との積極的な意見交換などをとおして、次年度は、ハリントンのプロパティ論を中心に予定通りの研究作業を進める。 また研究がひとまとまりを付けるごとに、研究成果の発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献やデータベース利用権の購入、海外資料調査、内外の関連研究者との意見交換などによる支出を予定している。
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