オランダ共和主義思想との比較からハリントンの経済思想の特徴を析出するために、関連する先行研究を網羅的に把握し、有意な比較作業の論点を確定した。 以上を踏まえ、第一に英国共和主義者同士の土地所有論争の再分析から、ミルトンとハリントンの対立とみられてきた論争が、ハリントン主義者への前者の批判を含意することを提示、第二に英国共和主義者たちの商業論が、オランダ共和主義に比して、商業の積極面を低く見積もる側面をもつという先行研究で示唆された点を、彼らの著作上の根拠を示しつつ明確に析出、第三に英国共和主義の経済思想の更なる分析には、両国に影響を与えたグロティウスやセルデンとの比較作業の重要性を示唆した。
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