研究課題/領域番号 |
23530240
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松野尾 裕 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30239058)
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キーワード | 相互扶助 / 協同組合 |
研究概要 |
本研究の目的は、大正期から昭和期の日本において誕生・成長した協同組合運動と農村共同体運動に着目し、近代日本における相互扶助の思想とその実践を掘り起こし、それらの可能性と限界を解明することである。 平成25年度は、主に大正期から昭和前期(関東大震災とそれに続く恐慌期)の東京地域の消費組合運動関係の資料調査・蒐集を行った。研究のとりまとめ・公表としては、主に前年度に蒐集した資料を用いて、北海道において酪農組合を創設した黒澤酉蔵と、その活動を消費組合運動の立場から支援した賀川豊彦との思想的関係について詳細に分析した論文「二人の協同組合主義者-黒澤酉蔵と賀川豊彦」を日本経済思想史学会機関誌『日本経済思想史研究』第13号(39~58頁)に発表した。さらに、上記酪農組合運動を担った一群の人々の思想的つながりをデンマークの宗教家・社会教育家であるグルントヴィと関係づけて論じた論文「グルントヴィと北海道酪連の開拓者たち―宇都宮仙太郎と出納陽一を中心にして」をまとめ、26年度中に発表する予定となっている。 研究期間の半分が過ぎ、従来経済史研究で扱われてきた産業組合研究と、思想史研究で扱われてきた経済人の評伝的研究に加え、教育史の領域及び宗教史の領域の各研究をも一定程度視野に入れる必要があることがわかった。25年度はそうした視点を意識しながら、文献・資料収集等の範囲を見直し、蒐集と内容分析に努めた。それらの成果のとりまとめは次年度以降の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蒐集した文献・資料の分析・とりまとめ及び成果の発表は計画以上に進展しているが、資料収集の範囲の見直しに時間をとったことから、25年度は、現地調査及びそれに基づく資料蒐集については、比較的規模の大きいものは行わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究の遂行状況を総括したうえで、年度計画の調整を図り研究を推進する。 平成26年度は、前年度に行った資料蒐集範囲の見直しにもとづいて、現地調査と資料蒐集に積極的に取り組むとともに、それらの成果を踏まえて、諸資料の分析・考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本年度見直した資料蒐集方針に基づいて、規模の大きい現地調査及び資料蒐集等を行う。 現地調査及び資料蒐集のため旅費の支出を当初計画より増額する。
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