日本の大正期から昭和前期に誕生し、成長した協同組合運動と農村共同体運動に焦点を定め、近代日本における相互扶助の思想と実践について実証的研究を行った。研究対象は、日本における協同組合運動推進者である賀川豊彦が日本各地に設立した農民教育のための共同体である「農民福音学校」と、北海道で酪農組合の創設に尽力した黒澤酉蔵による農民育成組織である「酪農義塾」とについて、一次資料を用いて詳細に研究した。また、賀川豊彦や黒澤酉蔵が受容したデンマークの農業思想と、その農業思想の担い手を育てるフォルケ・ホイ・スコーレ(国民高等学校)の教育運動について考察した。
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