19世紀末にウェッブ夫妻が設立したロンドン政治経済大学は,ケンブリッジ大学の分析的経済学と比せば,歴史・実証的な方法論を持っており,オクスフォード大学との連携があった。本研究では,L.T.ホブハウス,R.H.トーニーらのオクスフォード出身者に着目しウェッブ,ベヴァリッジ,ロブソンらの行政学とは別の「社会学」的経済思想の伝統に着目した。この伝統は後にティトマスらの社会行政学の互酬的社会市場論に流れ込むが,「社会的自由主義」とも言うべきミル以降の人格陶冶論の伝統にあった。最終年にはこの分野の代表者,マイケル・フリーデン教授,ベン・ジャクソン博士との新プロジェクトへ向けての知見も交換した。
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