本研究では,資本主義と社会主義の対抗を軸に展開されてきた経済体制論争の歴史について考察し,(1)1917年のロシア革命は本質的な点において革命的社会主義の理念を忠実に体現する革命であったこと,(2)ソビエト社会主義体制下で生じた否定的諸現象は,労働義務の追求(そのための私的所有と自由市場の否定)という革命的社会主義の根本理念の不可避的な帰結であること,(3)ソビエト社会主義体制の崩壊以降,経済体制をめぐる対抗の焦点は,資本主義の枠内で諸個人の生存と発達の権利をどのように保障するかという点に移っていること,について明らかにした。
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