国際基準SNAによって定義されるGDP統計は作成国の既存統計に全面的に依存し、各国が異なる推計方法を確立しているのが現状である。本研究は日中両国のSNAの導入経緯や統計制度、既存統計の相違を整理し、GDP統計の作成方法を考察した。また、帰属家賃の推計方法や実際の統計値を考察し、持ち家率が8割以上の今日でも中国の推計方法は本質的に変更していないことを問題点として提起した。さらに中国実質GDP推計に主に使用されるシングルデフレーション法のバイアスの問題について独自の考察を行った。本研究は中国を含め、発展途上国及びMPS体系からSNA体系への移行国のGDP統計の解明に一助になることを期待したい。
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