研究課題/領域番号 |
23530251
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
星野 伸明 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (00313627)
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キーワード | 経済統計学 / 官庁統計 / 匿名化 / プライバシー |
研究概要 |
本年度は、個票開示リスクの厳密確率分布を計算する方法を更に改善できた。離散分布論的には、コルチン分布という自然数の確率分割の族について、周辺階乗モメントの逆転公式を求めることができたことになる。また匿名データの作成において個体識別が不可能である状態を、過去の経験から推定する基本的な枠組みを定めた。 自然数の確率分割の第一要素の周辺分布が個票開示リスク測度として意味を持つので、昨年度はこれを考察し、分布の構成論的理解から評価方法を導いた。この手法では第一要素と全要素の和の同時分布を求めてから、全要素の和について全域の和をとり、第一要素の周辺確率を求める。一方、今年度に明らかにした方法では、第一要素の階乗モメントを全次数評価し、その加重和として同じ周辺確率を求める。このような逆転公式を求めればよいことは分かっていたが、これまでは具体的な加重値を求めるに至らなかった。 この公式は研究集会『数理統計学の沃野』(平成24年11月23-24日に慶應義塾大学矢上キャンパスで開催)の予稿集pp.78-86に収録の論文"On the marginals of a random partitioning distribution"に記した。この論文は内容を一層充実させてから投稿する予定である。なお本集会は、この科学研究費を用いて20件の報告を集めた。最先端のアイデアを交換でき、非常に有益であった。 それから匿名データ作成時の技術的目標について、統計的推定を用いる方法を統計関連学会連合大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の目的とは間接的にしか関係しないが、匿名データ作成実務の理論的整理を優先させた。
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今後の研究の推進方策 |
攪乱および模造を含む場合の個票開示リスク測度について、現実的な評価手法の指針は固めたので、抽象化を始める。しかしその前に、コルチン分布族の周辺分布について総合的な議論をまとめるつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
洋書の納期の不確実性により約四万円を次年度にもちこした。次年度の図書購入に使用する予定である。
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