研究課題/領域番号 |
23530252
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
根本 二郎 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20180705)
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キーワード | 国際情報交換 / 台湾 / 大学 / データベース |
研究概要 |
すべての国立大学の財務諸表を利用して作成されたパネル・データを用いて、国立大学の生産フロンティア関数と費用フロンティア関数の推定を行い、効率性、生産性の計測とそれらを規定する要因の探索、規模の経済性、範囲の経済性の計測を行った。一方、DEAによる大学の非パラメトリックな効率性分析について、数理計画ソフトウェアGAMSによるプログラムの作成と分析の試行を進めた。 以上の予備的な結果をまとめ、アメリカのライス大学で開催された North American Productivity Workshop 2012およびタイのカセサート大学で開催された Asia Pacific Productivity Conference 2012 で口頭報告を行った。 既に分析を終了してJournal of Productivity Analysis に投稿中であった私立大学の規模の経済性と範囲の経済性に関する論文は、査読者の改訂意見にしたがって修正し再投稿済であり、最終的な受理を待っている。 台湾の台中大学のFu博士(中華研究院から台中大学に移籍)と協力して進めている東アジア大学共通データベースの構築については、国立大学の平成21年度分の財務報告書に基づき拡張を行った。また日本の大学について財務諸表以外のソースから得られる質的指標の整備が課題となり、その収集のため民間企業の調査データの利用可能性についてサーベイを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私立大学の経営効率、規模の経済性および範囲の経済性に関する論文は査読プロセスの最終段階にある。国立大学のパネルデータは分析に使用できる程度に整備を完了した。また非パラメトリックな効率性分析のためのGAMSプログラムも準備が進んでいる。台湾のFu博士が作成している東アジア大学データベースに参加するための、国立大学データの整備も進めつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は計画最終年度となるため、国立大学のデータによる規模の経済性および範囲の経済性の計測に関する論文と、非パラメトリックな効率性分析に関する論文を完成し、全体として大学の生産および費用構造とその経営に対する含意を研究の結論として導き出す。 その際、私立大学に関する分析と国立大学に関する予備的な結果から、範囲の経済性に関する結論が不安定であり、他の要因をコントロールする方法によって結果が正反対になるという事象に十分な注意を払う。範囲の経済性は、大学経営において研究と学部・大学院の機能分化をい進めることが効率化を促進するかどうかに関係し、大学政策上も重要な含意を持つため、細心の注意を必要とする。 あわせて、国立大学についてデータ収集を進め、台湾のFu博士との協力で進めている東アジア大学データベースの一定の完成を目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として非パラメトリックな効率性分析を円滑に実行できるよう、計算処理速度の速い高性能PCを購入する。 また国立大学のデータ収集のため、新聞社などの民間による調査データを購入し、データ整理のための謝金を支出する。
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