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2011 年度 実施状況報告書

計量経済学における正則条件に関する検定とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 23530253
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

人見 光太郎  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00283680)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2016-03-31
キーワード検定 / ノンパラメトリック / 正則条件
研究概要

本年度は正則性の検定として、経済時系列での代表的な因果関係の概念であるGranger の 因果性の検定の拡張を行ったうえで、拡張した意味でのGrangerの因果性の存在の検定を研究した。 Granger の 因果性の検定はある確率変数X(t)の予測値がXの過去の値(X(t-1), X(t-2),…)だけでなく他の確率変数{Y(t)}のも使って過去の値にも条件付けた方が予測値の分散が小さくなることと定義される。本年度の研究はGranger の 因果性の概念を期待値(1次モーメント) だけではなく、近年金融データで注目されている2次モーメント、あるいはより一般的にk次のモーメントにまで拡張した。また、通常はGrangerの因果性での予測値は予測誤差を最小にする過去の値の最良線形写像で定義される。しかし、これでは非線形の影響を除けないため、非線形な関係を許すように定義を拡張し、そのような強い意味での Granger の因果性が存在するかどうか、どのような非線形な関係でも検出できるような統計的な検定を提案した。検定の方法は因果性がないという帰無仮説のもとで得た残差をY(t)の過去の値で作られる二乗可積分な関数の空間を張る直交基底との相関を作り、データ数に応じて使用する直交基底関数の数を増やしていくことによってどのような非線形の関数も検出できるようにした。 この検定を用いることで金融資産の収益データのボラタリティーやより高次のモーメントに因果性が存在するかを検定することができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

23年度にガンのため入院、療養が必要であったために研究の速度が遅くなり、そのために研究計画の達成度がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

平成24年度以降はまず、23年度の成果をもとにして回帰曲線の連続性と微分可能性の検定を研究する。 まず、ノンパラメトリック回帰の枠組みで被説明変数yの説明変数xが与えられた状態での条件付き期待値E[y|x]を回帰曲線m(x)とし、m(x)が特定の点x=x_0で連続、または部分可能性の検定を導出する。これはx_0の右側だけのデータを使ったlocal polynomial estimator と左側だけを使った local polynomial estimator の差を使って検定できると思われる。ただし、ある点での微分可能性ではなく[x_a,x_b]のような区間内で連続、または微分可能を作る場合はもう一段の拡張が必要となるが、おそらく点xでの検討計量をT(x)とすると、sup_{x_a<x<x_b} T(x)という検定統計量を作ることで可能になると思われる。ただし、sup_{x_a<x<x_b} T(x)の棄却域を決めるためには漸近分布の導出だけではなく、Bootstrap (Efron (1979), Hall (1992))を用いる必要があることが予想される。

次年度の研究費の使用計画

入院、療養していたため行うことが出来なかった、コンピュータを使ったモンテカルロシミュレーションによる検定方法の評価を行う。この目的のために、昨年からの繰り越し分でパーソナルコンピュータ約25万円、数値計算用ソフトウェア約20万円の物品購入を予定している。 また、統計関係図書の購入のために約30万円、研究打ち合わせのための国内旅費に15万円、成果発表のための海外旅費に25万円を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A Consistent Nonparametric Test for Nonlinear Causality2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Nishiyama, K. Hitomi, Y. Kawasaki, Kiho Jeong
    • 雑誌名

      Journal of Econometrics

      巻: 165 ページ: 112-127

    • DOI

      10.1016/j.jeconom.2011.05.010

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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