投入係数を価格の関数として内生化する独自のモデルを開発し,2008年の世界貿易の急激な減少(貿易大崩壊)における生産ネットワークの役割を実証的に分析した。国際的生産ネットワーク(垂直的特化)の発展を貿易大崩壊の主たる原因とするこれまでの定説に反し,垂直的特化の進展はむしろ国際的波及を安定化させる要因であり,貿易大崩壊は約4%の輸出価格プレミアムの発生による供給関数のシフトによって説明できることが明らかになった。また,産業連関モデルと応用一般均衡モデルを結合する事により生産ネットワークと東アジア経済の構造変化の実証分析をも行い,自由貿易協定は東アジアのデカップリングを強めることを見いだした。
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