研究課題/領域番号 |
23530255
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
村澤 康友 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (00314287)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 景気指数 / インフレ期待 |
研究概要 |
本研究課題に関連する平成23年度の研究実績は,査読付き国際学術誌掲載論文2本と国際学会発表1件である. 査読付き国際学術誌掲載論文は,2本とも中国人民大学の張成思教授との共著論文であり,中国のGDPギャップを推定して,それを基に中国におけるインフレ率とGDPギャップの関係(フィリップス曲線)を分析したものである.若干の構造変化は見られるものの,中国においてもフィリップス曲線の関係は概ね成立しており,その関係を前提に金融政策を運営すべきであることが示された. 国際学会発表論文は,日本の消費動向調査のデータを用いて,日本の家計の期待インフレ率の分布を推定したものである.この調査の回答は7つの選択肢から成る区間データであり,正規分布を拡張した歪みをもつ一般化誤差分布やt分布を当てはめることができる.またインフレ率は「変わらない」とする回答が,実際に0%の周りのどの範囲を指しているかも推定できる.本論文では種々の歪みをもつ一般化誤差分布やt分布の当てはまりの良さを比較検討し,選択されたモデルを用いて期待インフレ率の分布がどのように変化するかを調べた.その結果,インフレ期とデフレ期では期待インフレ率の分布の変化が非対称になっていることが分かった.デフレ問題の解消のためには,民間のデフレ期待を払拭することが重要である.インフレ(デフレ)期待のデータを直接分析する本稿のアプローチは,今後の研究の発展に役立つと期待される.なお本論文も既に査読付き国際学術誌から掲載許可を受け,平成24年度中に掲載される見込みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度はインフレ期待の計測に関する研究成果をまとめることを目標としていたが,査読付き国際学術誌への掲載が決まり,次のステップに進む準備ができた.四半期のギャップ指数のベイズ推定に関する研究成果は,査読付き国際学術誌に現在投稿中である.また四半期と月次の系列を用いて月次の景気水準指数とギャップ指数を同時にベイズ推定する研究にも既に着手しており,平成24年度中に学会発表することを目標にしている.
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今後の研究の推進方策 |
四半期と月次の系列を用いて月次の景気水準指数とギャップ指数を同時にベイズ推定するプログラムを早急に完成させ,実際のデータに適用した結果を論文にまとめる.平成24年度後半には国内外の学会で成果を発表したいと考えている.また査読付き国際学術誌に現在投稿中の論文については,平成24年度中の掲載決定を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金を活用し,国内外での学会発表を,可能なら複数回行いたい.そのため研究費の大半は旅費として使用する予定である.それ以外では若干の書籍の購入と英文校正に使用する可能性がある.高性能のコンピューターが必要となった場合は,研究費を前倒しで使用することもありうる.
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