研究課題/領域番号 |
23530258
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
森棟 公夫 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (20109078)
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研究分担者 |
金谷 太郎 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50378957)
末石 直也 京都大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (40596251)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バイアス / 二次モーメント / 二次モーメント推定 / 二次モーメントバイアス / ボラティリティ / クロス・ボラティリティ / 高頻度データ / マーケット・マイクロストラクチャー・ノイズ |
研究概要 |
二次モーメントを基礎とする分析方法を追求した.理論的な研究に加えて乱数系列を用いたシミュレーションも行った.この種のシミュレーションは常に理論をサポートする事になるので,実際の金融データを使った実証的な検証も行う予定だった.しかし,データの購入が遅れ,この作業は始まっていない.データとの照合手順は非常に重要で,理論的な分析がもたらすある種のモデル・スペシフィケーション・バイアスを除去することができる.このようなバイアスは,シミュレーションにおける確率変数の生成が、標準の分析では正規確率変数に限定されていることから生じていることが多い.つまり現実の分析では誤差項の分布は正規分布に制限されるはずはなく,仮に正規分布から生成されていたにしろ,その分散は常に変化する.さらにこの分散の変化はシステマティックでは無い可能性が高く,システマッティックな変化を内包する理論的なモデルが現実の変化を近似できるか否かは,実際のデータとの比較によってのみ検討することができる.したがって,幅の広い誤差分布において従来の分析法が維持できるか否かを検討する事が不可欠である. また,ノンパラメトリックな二次モーメントの推定手法としては高頻度データを使う方法が有力であるが,高頻度データにはマーケット・マイクロストラクチャー・ノイズの問題がある.ノイズが二次モーメント推定量に与える影響とその対策は昨今の研究で明らかになりつつあるが,異資産間の二次モーメント,すなわち,クロス・ボラティリティを推定法については改善の余地がある.そこで,既存の手法の推定効率を改善する推定法を提案して,シミュレーションによって理論的結果を確認した.これらの結果も実際のデータを使った実証分析により,前提としている仮定に妥当性があるか否か確認する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
学務が多忙になり,エフォトが低くなっているために進行が遅れている.同時に,データが高価すぎ,まだ金融データの購入が終わっていない.
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今後の研究の推進方策 |
コンピューター計算を含むが、プログラミング等は共同研究者に任せる。また,実際の金融時系列,特にティック・データの処理も,観測個数が多いためにかなり困難である.系列が多くなると困難さは倍増するが,データ購入の費用もあるので,代表的な系列に限定して分析を行いたい.積率を基にした研究を続ける.二次積率を用いるを高次積率を用いる分析に拡張することができる.収益率を統計量の分布が正規分布で近似できるように変換し,高次積率に依存した分析を行う.実際に二次までの理論的な期待値に既にノイズ分散が含まれるから,高次積率の期待値にもノイズ分散が含まれ,モーメント法の考え方を使えば,ノイズ分散の推定量を求めることができる.したがって,それを使ってノイズ分散がもたらすバイアスを除去して行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
まず金融データの購入を行う.そこで,ほぼ100万円を支出する.あとは,Gauss, Mathematica, TSPなどの計算用ソフトは,不足分だけを申請したい.S+Finmetricsは,古いversionを使っているので,新規に新versionにアップデートしたい.Finmetricsが高価だが,金融ファイナンスのプログラムを多く含むので,この課題の遂行に必要である.金融データ:ほぼ100万フィナンスソフト:60万円他:50万円
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