研究課題/領域番号 |
23530262
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 由夏 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50598480)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 貿易制裁 / 貿易政策 / 研究開発 / 核開発 |
研究概要 |
経済制裁の大量殺戮兵器の開発に対する効果を分析するために、理論モデルを構築した。理論モデルは、当初の予定通りLee & Wilde (1980 Quarterly Journal of Economics) に類似した確率的研究開発モデルを利用しているが、非制裁国(核兵器などの大量殺戮兵器の開発をしている国)の研究開発活動を個別に分析するのではなく、制裁国との無期限ダイナミックゲームを用いている。現段階では2カ国間のゲームで有るが、不確実性を含む非対称ダイナミックゲームであるため、申請時より想定していたことではあるが、分析はそう容易ではなく、理論的な分析で出せる結果には限度がある。シミュレーション分析を行うことが必要になってくるが、そのための準備として、この様な問題を解くのに必要な数理分析ソフトウェアーを調査したところ、当初予定していた MatLab よりは Mathematica の方が適切だと思われたため、シミュレーション分析の準備に取り掛かった。しかしながら、実際のシミュレーション分析には取り掛かっていない。また、経済制裁や貿易制裁のスタイライズド・ファクトを確立するためのサーベイであるが、助成金の最終決定の遅延により、理論モデルの構築に先に着手したため、こちらについては24年度以降の課題となっている。現時点の限定的なもでるによる分析成果としては、貿易制裁が逆効果になりうる可能性を示唆する結果が出ている点が興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サーベイと理論モデルの構築と順序が逆になったため、総合的に見ると概ね順調と言える。理論上、興味深い結果が出ていること、及び、23年度内にシミュレーションの準備に入れたことは予想以上と考えられるが、実際のシミュレーション分析には着手していない。理論分析の結果はまだ初期モデルによるものであるが、今後発表の価値があるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
理論モデルのリファインメント、シミュレーション、スタイライズド・ファクトのサーベイが課題である。理論モデルに関しては、今後、どの程度包括的なモデルに拡張するか、それとも比較的シンプルな洗練されたモデルに留めて、分析結果を強調するか判断すべきところである。この為、シミュレーションを含め、数バージョン分析を行い、他の研究者の意見も参考にした上で判断を下したいと思っている。タイミングについては分析の成果にもよるが、国内外の研究者との意見交換や学会での発表などについても24年度後半には積極的に行いたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度未使用額の発生理由は、基盤(C)の配布額がなかなか決定されなかったため、研究分析の順序を変更したためである。23年度未使用額の利用計画としては、シミュレーションの為のソフトウェアー、書籍、トレーニング等、及び、学会参加や意見交換のための海外研究者の招聘に関わる旅費を想定している。また、24年度に延期されたスタイライズド・ファクトのサーベイに関わる研究補助費用も計上予定である。
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