本研究の目的は,欧州連合(EU)の東方拡大以降の自動車産業の企業・地域間分業体制の再編動向を実証的に検討し同産業の生産ネットワークの基本構造と展開のダイナミズムを解明することにある。研究期間内に,①欧州では統合深化に伴い地理(空間)的拡張(ルーマニア等の興隆)と「高度化」(中東欧でR&D拠点設立,スペインで高性能品の製造)が進展している,②自動車生産ネットワークは固定分業モデルではなく地域特性を熟慮した柔軟な再編可能な「進化」モデルとして捉える必要性がある,③欧州有力メーカーは各社独自のネットワークの形成・活用を梃子にグローバル競争力の強化に取り組もうとしている等の結論を導いた。
|