研究課題/領域番号 |
23530267
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
S.J Turnbull 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90240621)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | オープンソースソフトウエア / 経済成長 / 日本経済 |
研究概要 |
23年度の主の実績:(1)Futamura and Turnbull[2003] "An Empirical Study of the Effect of IT Investment in Japan 1975--2000: Focus on Software Assets"で使用したデータの一部を2010年度分までアップデートした。(2)著書などの資料でオープンソースソフトウエアの開発法とビジネスモデルおよびいわゆるオープンイノベーション法を調べた。結果として、開発者の考え方と仕事に対する態度をより深く研究する必要が判明された。(3)(2)の結果に踏まえて現場のヒアリング調査を計画し、実施しました。アメリカGoogleのような巨大企業でも活発的なワンマンウェッブデベロパーまで使われているPython言語を選択した。最初版を開発して、現在プロジェクトリーダーとして活躍するGuido van Rossum氏、Python開発を支援するPython Software Foundation理事長(当時)のSteven Holden氏、起業家として活躍するソフトウエア開発者Jesse Noller氏、複数Pythonを利用する開発者のインタービューを行った。オープンソースソフトウエアの開発法とビジネスモデルがよく分った。(4)経済成長論に基づいたソフトウエア産業の2部門モデルをまとめて、基本動学的な特徴を導き出した。部門は「知的財産権利」を利用する部門(商用部門)とオープンソース部門で、商用部門が圧倒的な経済力を持つのに知的スピルオーバーのおかげで定常状態でオープンソース部門はなくならず、一定のシェアを維持する。結果として中小企業の起業が容易で膨大な投資が必要なくて、少ない努力で成長部門にすることが十分に可能と分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の主な実績(2)は計画通りに進んだ。(1)と(4)の仕上がりが前年度末までに出来上がり、平成24年度の夏中に論文をまとめる予定だったが、約3ヶ月遅れている。ここでいう「仕上がり」とは定理の証明やデータの正確性の細かいチェックに当たる。結果は変わらないと思われるが、公表する前にチェックがまだ必要だと思う。(3)は計画の拡張であり、その意味では進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度からの研究推進方策とは、(1)日本の生産要素データ(総生産額、労働力、ソフトIT資本、ハードIT資本、その他一般資本;ソフトIT投資を自家・カスタム・パケージに不区分)の整理を完成・確認する。Futamura-Turnbull [2003]の結果の再確認・延長分析を行う。(2)他国(最小、アメリカとイギリス)の相当するデータを入手し、国際比較研究を行う。(3)ソフトウエア開発産業の成長論を完成し、論文作成・投稿をする。(4)アメリカで行われたヒアリング調査のデータの整理(トランスクリプト作成、確認;メールでのフォローアップ)。(5)日本でのヒアリング調査を行ってアメリカと日本の考え方を比較し、日本のソフトウエア産業の成長政策を導き出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度研究費の繰越は、平成24年3月末のPython Convention(通称PyCon 2012アメリカカリフォルニア州サンタクララ市)への旅費と、3月末に購入した研究資料が平成24年度に会計処理されるため発生したものである。平成24年度研究費の使用計画は、6月28日から開催されるAssociation ofJapanese Business Studies学会での研究発展ワークショップで中間発表及び専門家との意見交換や、日本国内でオープンソースソフトウエアの開発者にヒアリング調査を行うための旅費、また主にデータ入力とデータ処理のための人件費と消耗品の購入を予定している。
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