研究概要 |
"A Model of Industry Growth of Open Source and Proprietary Software"(作成中)ではUzawa (1961-2, 1963)の「2部門経済成長モデル」を延長した上でソフトウエア作成に適切なパラメータ値を導入して有志労働で制作したオープンソースソフトウエア(OSS)は専売専用ソフトウエアの所得と比べて低いことに係らず長期的均衡で一定のシェアを維持する。スピルオーバーの有無やOSSライセンスはシェアへ影響するが、OSSシェアはゼロに下がらない。 "The Role of Software Assets in Japanese Economic Growth 1975-2011"(作成中)ではICT産業の最新データを用いて二村(2003)の修士論文でのモデルの結果を再確認して、そしてマクロから産業ごとのモデルを推計する。基本結果は二村(1963)と同じくソフトウエアの成長への貢献が意外と大きい。ただし、効果が多少低くなった。また、産業による影響が上下する。 "Development Communities in the Software Industry: The Case of the Python Language"(作成中)では、Pythonコンピュータ言語の開発者Guido van Rossumと他の開発者のインタービュー調査でPythonの人気と成長の原因を研究した。もちろん言語の利点を上げるが、「Pythonコミュニティの参加と支援」の役割が大きいと指摘。そのコミュニティの成長を描いて原則を探る。Pythonの利用が早く成長し、ウェブ2.0、科学、システム管理にも広がっている。開発者自身はコミュニティの参加が原因と考えられると主張している。その研究は、「バーチュアルクラスタ」理論の可能性を上げる。今までのクラスタ論はある地域に集まった産業が盛んに成長する理論でしたが、ソフトウエア開発はインターネット上で行うことは十分に可能であり、ハードウェア開発の地理的クラスタに相当するバーチュアルクラスタの存在が可能と考えられる。
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