研究課題/領域番号 |
23530268
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
後藤 和子 埼玉大学, 経済学部, 教授 (00302505)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 著作権と契約(オランダ、イギリス) / 契約理論 / クリエイティブ産業 / 産業組織 / インセンティブ / 産業集積 |
研究概要 |
2011年8月と2012年3月に、オランダ・エラスムス大学ロッテルダムを訪問し、近年、著作権と経済の研究で顕著な研究業績をあげているChristian Handke 専任講師(Cristian Handk, The creative destruction of copyright, Innovation in the record industry and digital copyingは、高い評価を受けた)を訪問し、当該分野の研究動向や著作権と契約を巡る研究動向に関して、専門的知見の提供を受けた。 また、2012年6月に開催される国際文化経済学会で論文発表を行うため、2012年1月に論文要旨を提出し、査読を通り、現在、論文発表の準備中である。 2011年度は、クリエイティブ産業の1つである電子書籍に関する共同研究も行った。研究会では、電子書籍の流通における著作権の所在や権利処理、著作権収益に関する議論も行われた。特に、福井健策弁護士による「電子書籍における著作権と契約」をめぐる研究報告は示唆に富むものであった。こうした研究会の成果も踏まえ、後藤和子ほか「電子書籍の文化経済学」(文化経済学会<日本>編, 『文化経済学』2012年3月)を公刊した。 2012年3月には、近年、クリエイティブ産業の集積が著しい沖縄を訪問し、ゲーム企業や映像企業のクリエイターにヒアリングを行った。また、沖縄の伝統工芸産業についてもヒアリングを行い、現状と著作権や契約を巡る課題を探った。 クリエイティブ産業の1つである工芸産業については、国際比較研究も開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に書いた通り、海外研究者から専門的知見の提供を受け、国際学会発表に向けての準備も進めている。 2011年度の具体的成果としては、2011年7月に開催された文化経済学会<日本>の学会大会発表を基に、後藤和子ほか「電子書籍の文化経済学」(文化経済学会<日本>編, 『文化経済学』2012年3月)を公刊することができた。この論文は査読付き論文であるため、一定の評価を受けた論文であるとみなすこができる。 また、本研究がクリエイティブ産業と著作権に関する研究であるため、クリエイティブ産業の1つである工芸産業をめぐる国際比較研究(オランダ、イタリア、ドイツ、中国、インド、日本)にも、着手したところである。その最初の成果として英文レポートを公表した。今後、この比較研究はより学術的・理論的研究として高めていく予定である。 以上の具体的成果や国際共同研究の進展により、本研究の目的はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2012年6月の開催される国際文化経済学会にて、著作権と契約に関する論文発表を行う予定である。また、クリエイティブ産業の1つである工芸について、特別セッションIntangible cultural heritage and an Asian herspectiveでパネルを務める予定である。 国際文化経済学会の間に、著作権の経済で先駆的な研究業績のあるR.Towse教授に専門的知見の提供を受け、更に理論研究を発展させるとともに、8月にはオランダのエラスムス大学を訪問して、Cristian Handke専任講師等とも、意見交換を行う予定である。 それとともに、日本のクリエイティブ産業の現状に関しても継続的に調査を続け、産業組織と契約に着目して、課題を探っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
6月に国際文化経済学会で論文発表を行うため、英文校閲等を受けるとともに、専門的知見の提供をうける。国際学会参加のための旅費が必要である。 また、2012年8月と12月には、オランダ・エラスムス大学及び、NIAS(オランダ国立研究所)を訪問する予定である。 国内調査及び国内の専門家との議論も継続的に行っていくため国内旅費が必要である。 研究に必要な備品(パーソナル・コンピュータ)や、図書・資料にも研究費を使用する。
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