本研究では中国と日本の携帯電話産業の発展について調査し、両国の産業がなぜ独自の進化をしたのか考察した。中国では最盛期には1500社以上もの携帯電話メーカーが参入する状況が現出したが、その調査を通じて中国の産業発展を突き動かすいくつかの特徴、すなわち「大衆資本主義」や「キャッチダウン型技術進歩」と呼びうる現象を発見した。前者は資金や人的資本を欠くような人々も積極的に創業する状況を指し、後者は途上国の企業が途上国の低所得層の需要に適応した製品を開発することを指す。そして中国の他のいくつかの産業にも同様の特徴が見られることを発見した。
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