サーチ理論に関する研究では、個別サーチ活動と投票による集団サーチ活動に違いがあるのかを実際に被験者にプレーさせて検証する経済実験を実施した。この論文はEuropean Economic Reviewに掲載された。 求人企業と求職者のマッチングの効率性に関する研究では、2本の論文を発刊した。1つ目は、マイクロデータを使用したマッチング関数の推計で、日本の労働市場におけるマッチング関数の形態を統計的に示した。この論文はJapanese Economic Reviewに掲載された。もう1つの研究は、サーチ活動の期間と再就職後の勤務年数の関係を検証した。時間を掛けて求職すればマッチした仕事に再就職できるはずなので勤務年数は長いと仮定した。結果は必ずしも仮定を支持するものではなかった。この論文は、Journal of the Japanese and International Economiesに掲載された。 Kudoh and Sasaki(2011)の労働需要モデルが従来の労働供給モデルよりもデータの説明力が高いかを日本の集計データを利用して確認した。労働需要モデルでは、採用する際にサーチ・フリクションがある状態で、企業が最適な労働者数と労働時間を決定する。結果は、変数の標準偏差をデータと比較すると、労働者数や労働時間はデータに対する説明力が高かったが、反対に、失業率や求人率に関しては説明力が低かった。 企業内の組織形成が生産性にどのように影響を与えるかを1企業に対するアンケート調査から検証した。ここでは特にローテーションと配置転換が自動車工場の従業員の生産性に影響を与えたかを検証した。この工場は需要ショックに対応するために従業員に対してマルチ・スキルを要求することがわかった。配置転換やローテーションによって新しいタスクを任されるが、OJTによって生産性は向上すると従業員は認識する。この論文は、Journal of the Japanese and International Economiesに掲載された。
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