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2012 年度 実施状況報告書

地域間財政調整と「地域会計」に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530283
研究機関北九州市立大学

研究代表者

吉村 弘  北九州市立大学, 大学院社会システム研究科, 教授 (30034862)

キーワード地域会計 / 地域間財政移転 / 移転補償的財政調整 / 社会保障的財政調整 / 地方交付税 / 地域間人口移動 / 地方分権 / 道州制
研究概要

現在、日本は、地方分権に向けて道州制など地域再編が進められているが、その過程において、地域間財政調整は避けて通れない重要課題である。しかしながら、従来の財政調整は、地方交付税のように理由の如何を問わず経済厚生格差の存在そのものを根拠とする「社会保障的根拠」に基づいている。筆者は、それに加えて、地域間の「移転」の補償を根拠とする「移転補償的根拠」に基づく地域間財政調整が重要と考える。
そこで、本研究の目的は、地域間財政調整の新たな根拠「移転補償的根拠」を提供するために、地域間移転関係の実態を把握できるような「地域会計」の概念を構築し、日本のデータに基づいて、その実証的プロトタイプを作成することである。
この目的に照らして、3年間の「研究実施計画」のうち平成24年度の実施計画は、前年の作業に基づいて「地域会計」の概要を作成するために、主として国民経済計算及び県民経済計算との整合性に留意しつつ、既存データによって推計可能な方式で、地域間財政移転を陽表的に含む「地域会計」概念を構築することであった。この作業の中心は、県民経済計算の中から、地域間移転に関わる項目を抜き出し、それを、国民経済計算と結びつけて、全国的に整合的なものとすることであるが、このうち、地域間人口移動に伴う地域間財政移転について、一連の推計結果を得ることができ、その概要を後述の「13.研究発表(平成24年度の研究成果)」に示すように、2編の論文として発表した。
この論文は、筆者の目指す“地域間移転関係の実態を把握できるような「地域会計」“の重要な一部を構成するものであり、次年度へつなぐ架け橋となるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(理由)
平成24年度の実施計画は、主として国民経済計算及び県民経済計算との整合性に留意しつつ、既存データによって推計可能な方式で、地域間財政移転を陽表的に含む「地域会計」概念を構築することであり、その作業の中心は、県民経済計算の中から、地域間移転に関わる項目を抜き出し、それを、国民経済計算と結びつけて、全国的に整合的なものとすることであるが、このうち、地域間人口移動に伴う地域間財政移転について、一連の推計結果を得ることができ、その概要を2編の学術論文として公表し、成果を示すことが出来た。
この成果は、上述の本研究の目的に示した “地域間移転関係の実態を把握できるような「地域会計」“の重要な一部を構成するものであり、次年度に作成予定である「地域会計」の実証的プロトタイプに組み込まれるはずのものであるので、現在までの達成度として、おおむね順調に進展していると判断して良い。

今後の研究の推進方策

(今後の研究の推進方策)
平成25年度は、24年度からの継続作業を完成させ、近年の日本のデータに基づいて、「地域会計」のプロトタイプを作成し、それに基づいて地域間財政調整を数量的に推計する。
そのため、平成24年度に成果を得た“地域間人口移動に伴う地域間財政移転”をその一部として含むような「地域会計」のプロトタイプを試作を目指して、主として国民経済計算及び県民経済計算との整合性に留意しつつ、既存データ等を基に推計可能な方式を追求する。その1つの方法として、次のような方法を試みる。県民経済計算の「地域間移転」に関わるデータは種々あるが、まず、それらを丹念に抽出して、それを全国の都道府県について把握し、次に、そのデータを国民経済計算と整合的になるように再構成して、地域間移転を表す「地域会計」を求める。
その際、「地域間移転」に関わる種々のデータを概念的に整理しかつ、それらを、できるだけ包括的に取り入れるようにする必要があるが、これには、今までの調査研究に照らしてみると、かなりの時間を要すると思われる。というのは、概念的に整合的でも、その概念を表すデータが入手できなければ実証的研究は完成しないし、また他方、データを入手し得ても、実際のデータは概念上簡単に整合的にできるとは限らないものであり、この両立に工夫が必要となるからである。従って、すべての都道府県について作成することが難しい場合には、いくつかの地域について試作することにとどまることも視野に入れておかねばならない。
海外の研究者の中に、当該テーマに関心のある研究者がいるという情報があるので、場合によっては、海外出張してそれらの研究者と意見交換する機会を設定する可能性もある。

次年度の研究費の使用計画

(次年度の研究費の使用計画)
上述のような“地域間人口移動に伴う地域間財政移転”をその一部として含むような「地域会計」のプロトタイプを国民経済計算及び県民経済計算との整合性に留意しつつ推計して、「地域会計」のプロトタイプを試作するには、データの概念整理を始め、いくつかの段階を経る必要があり、その度ごとに、新しいアイデアを試みる必要があり、その試みに対する他の研究者の見解を渉猟・確認し、資料を収集し、また、推計結果・試作結果に対する評価・批判を仰ぐために、しばしば出張する必要が生じる。そのための旅費と、試作作業の資料整理などのためにアルバイト費用が必要である。また、通信関係の効率的な設備機器及びソフトウェアがあれば、それらを利用したいので、その物品費も必要となる。
上述のように、海外出張する場合には、その旅費等の経費が必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 地域間人口移動に伴う財政移転の社会的意義と推計方法-地域間財政調整の移転補償的根拠-2013

    • 著者名/発表者名
      吉村 弘
    • 雑誌名

      社会システム研究(北九州市立大学大学院社会システム研究科)

      巻: 第11号 ページ: 1~46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 都道府県間人口移動に伴う財政移転の推計結果とその含意2012

    • 著者名/発表者名
      吉村 弘
    • 雑誌名

      東亜経済研究(山口大学東亜経済学会)

      巻: 第71巻第1号 ページ: 51-71

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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