地域交通システムの評価では、アマルティア・センの潜在能力の考え方が重要であり、それを個々の住民の生活行動から得られる満足度によって評価することを提案した。住民の福祉に関する既存研究との大きな違いは、個人の潜在能力を定式化したミクロ的分析である点にある。その結果、個人属性によって類型化される「交通弱者」の、地域交通ネットワークから得られる福祉の特性を明らかにすることができた。本研究で、「交通弱者」は高齢、運転免許がない、車利用や送迎に制約がある、歩行が不自由などの属性を有する者とされる。実証分析で、4つの市町村を選び、それぞれの市民へのアンケート調査に基づいて満足度を計測することを試みた。
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