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2011 年度 実施状況報告書

高まる経済リスクと世帯の対応に関する日韓比較

研究課題

研究課題/領域番号 23530293
研究機関日本女子大学

研究代表者

大沢 真知子  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90223792)

研究分担者 金 明中  日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (20539069)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード貧困 / 格差社会 / 既婚女性の労働供給 / 労働力の非正規化 / リスク社会
研究概要

昨年度は3つの研究を進めた。ひとつは、経済のグローバル化が進展した日本と韓国で、既婚女性の労働供給がどのように変化しているのかについての実証研究をおこなった。既婚女性の労働供給は夫の所得と自身の賃金率に影響を受ける。特徴的な変化は、日本と韓国のいずれにおいても、高所得/高学歴の女性の労働供給が増加し、所得の両極化に影響を与えていることである。 また、夫の所得の変化をみると、20代から30代にかけての男性の所得の低下がみられた。そのことが女性の高学歴化や高学歴の女性の労働参加を促進しているだけでなく、未就学の子供をもつ女性の再就職の時期を早めている。どちらの国でも、2000年にかけて夫と妻のふたつの所得が必要な社会が出現していることが確認された。 日韓の労働力の非正規化の研究をおこなってきたが、正規社員のあいだにも雇用が不安定になっていることが確認された。労働市場に柔軟性を導入する動きが活発になっており、日韓ともに、雇用の安定性が失われつつある。2000年に入ってからは、低所得層の増加による貧困率の上昇をともなう形で、所得の格差が拡大しつつある。経済が発展するなかで、労働者から資本へ富がシフトしている。 このようななかで、韓国でみられるのが企業の社会貢献や市民運動の活発化である。多くの市民活動が生まれており、未婚の母の教育支援や貧困に陥ったひとたちを支援している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミクロデータを用いて、経済リスクの高まりのなかで、家計がどのようにそれに対応しているのかを経済理論の枠組みのなかで分析することができた。既婚女性の労働参加は低所得層と高所得層で拡大しており、格差社会を形成するひとつの要因になっていることがわかった。また、国際比較のプロジェクトに参加したことで、背後に経済のグローバル化という影響が存在することがわかった。労働市場における規制の緩和がどの国でも進んでおり、セーフティーネットの再構築が不可欠になっていることがわかった。

今後の研究の推進方策

労働市場の変化と社会政策の関連についてより詳細な研究をおこなうこと。国内外での専門家とのあいだでの意見を交換することで、分析をより深めこと。また、日本と韓国において今起きている市民による新しい運動についてのヒアリングをおこなうことなどを実施する予定である。また、国際会議などに積極的に参加して、成果の普及にも努めたい。

次年度の研究費の使用計画

日韓のヒアリング調査の実施。データの分析。国内外での研究会や研究者との意見交換を積極的にすすめる。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 日本政府及び与党の社会保障・税一体改革素案について2012

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      国際労働ブリーフ

      巻: (10) ページ: 49-65

  • [雑誌論文] 韓国の失業率は本当に低いのか?-非労働力人口の割合などが高いのが原因-2012

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      ニッセイ基礎研REPORT

      巻: 179 ページ: 2~3

  • [雑誌論文] ワーキングプアの増加と日本の社会システム2011

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子
    • 雑誌名

      統計

      巻: (3) ページ: 2-10

  • [雑誌論文] 最近日本の社会保障や税制改革に関する議論について2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      国際労働ブリーフ

      巻: (9) ページ: 75-95

  • [雑誌論文] 東日本大震災以後の日本の雇用状況と政府の雇用関連対策2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      国際労働ブリーフ

      巻: (9) ページ: 86-100

  • [雑誌論文] 日本における仕事と介護の両立支援の現状と関連対策2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      国際労働ブリーフ

      巻: (9) ページ: 104-124

  • [雑誌論文] 日本における職場内のメンタルヘルス関連対策2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      国際労働ブリーフ

      巻: (9) ページ: 80-98

  • [雑誌論文] 韓国における勤労奨励税制(EITC)の現況2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 雑誌名

      ニッセイ基礎研REPORT

      巻: 176 ページ: 28~41

  • [学会発表] Precarious Work in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子
    • 学会等名
      workship "Precarious Work in Asia
    • 発表場所
      University of North Carolina
    • 年月日
      Feb 27-28,2012
  • [学会発表] Gender Perspectives on the Japanese Safety-Net2011

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子
    • 学会等名
      EAJS
    • 発表場所
      University of Tallim
    • 年月日
      Aug 26,2011
  • [学会発表] Trend of Employment insurance system in Korea and Labor Market Policy2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 学会等名
      第14回労働経済コンフェレンスポスター報告
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      2011年9月4日~6日
  • [学会発表] Precarious Work in Japan2011

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子・金明中
    • 学会等名
      Workshop on Precarious Work in Asia
    • 発表場所
      Chung-Ang University,Seoul
    • 年月日
      2011年7月19日
  • [学会発表] Employment insurance system in Korea and recent revision2011

    • 著者名/発表者名
      金明中
    • 学会等名
      日本労務学会大41回全国大会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2011年6月26日
  • [学会発表] ダグラス=有沢の法則は90年代以降どのように変化したのか2011

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子・金明中
    • 学会等名
      日本経済学会2011年度春季大会
    • 発表場所
      熊本学園大学
    • 年月日
      2011年6月26日
  • [学会発表] ダグラス=有沢の法則は90年代以降どのように変化したのか2011

    • 著者名/発表者名
      大沢真知子・金明中
    • 学会等名
      社会政策学会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2011年10月8日

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公開日: 2013-07-10  

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