研究課題/領域番号 |
23530295
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 創業・起業 / 経済政策 / 経済理論 / 雇用政策 |
研究概要 |
2011年度は、日本及びスウェーデンにおける創業・起業の現状と政府による創業・起業支援政策の現状に関する調査を中心に研究をすすめた。具体的には、日本及びスウェーデンの職業安定所、中央および地方の関係省庁へのヒアリング調査と資料・文献調査を行った。日本についてのヒアリング調査は、複数のハローワークでの労働者への聞き取り調査と、厚生労働省及、経済産業省、複数の地方自治体での政策担当者に対してのインタビュー調査を行った。スウェーデンも日本同様に、複数の職業安定所での労働者への聞き取り調査と、労働市場政策を担っている中心省庁(Ministry of Employment, Arbetsmarknadsdepartementet) 及びStockholm近郊の地方自治体(Kommun)における政策担当者に対してのインタビュー調査を行った。日本及びスウェーデンでのヒアリング調査の結果、判明したことは下記の通りである。日本は、資金的な支援策は多岐にわたっているが、各省庁がそれぞれ独自に支援プログラムを行っているため、全体としてどのようなサポート体制が存在しているのかが、それを利用したいと考えている人には非常に分かりにくい状況になっている。また、資金面以外での創業・企業に関するノウハウについてはサポート体制が十分であるとは言えない状況にある.一方、スウェーデンでは資金的な支援策や創業・企業に関するノウハウについての情報が一本化されており、創業・企業を考えている人には非常にわかりやすくなっている。必要なすべての情報がインターネットで入手可能である上に、どのようなサポート体制が存在するのかがフローチャートで非常にわかりやすく説明されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で初年度である2011年度は、日本及びスウェーデンの創業・起業の現状とその支援政策の全体像を把握することに調査・研究の主眼を置いた。2011年度は、当初計画していたとおりの上記の調査・研究を行うことができ、理論モデル構築の基礎固めができたと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2012年度は下記の2つを中心に研究を進める。1、失業対策としての創業・起業支援政策のマクロ経済効果に関する理論研究(1)2011年度で行ったスウェーデンの創業・起業支援政策に関する調査・研究をもとに、創業・起業支援政策のマクロ経済効果が分析可能な一般均衡理論モデルを構築する。そこから、雇用の安定、失業率の減少、労働者の厚生水準及び社会的厚生水準の最大化をもたらすような創業・起業支援政策を導き出す。(2)(1)の理論モデルを基礎に、日本の労働市場及び労働者の特性(賃金・給与制度、教育・訓練システム、転職市場の状況等)を考慮し、日本の状況に合致する日本型理論モデルの構築を行い、日本においていかなる創業・起業支援政策が望ましいかを検証する。上記の理論モデル構築とあわせて、理論モデルが現実の状況をより正確に説明し、モデルの設定が現実的な状況から乖離してしまわないために、平成23年度に行った関係省庁に対する日本及びスウェーデンでのヒアリングを今一度行う。また、国内外の学会に参加することによって最近の研究をフォローアップし、より現実的でかつ独創的な理論モデルの構築に努める。理論モデル構築にあたっては、学会に参加するのみでなく、学会報告を行うことが可能である水準まで理論モデルの完成度を高める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
「今後の研究の推進方策」の欄でも記したように、2011年度に行った関係省庁に対する日本及びスウェーデンでのヒアリングを今一度行う予定である。また、国内外の学会へ積極的に参加して最新の研究をフォローアップすると同時に、研究成果を国内外の学会で報告することを予定している。従って、総研究費の約7割を国内外への旅費にあて、残りの約3割を文献や資料の購入関連の物品への支出に充てる予定である。
|