研究課題
本研究の目的は、これまで日本であまり重点を置かれてこなかった失業・雇用対策としての創業・起業支援政策に注目し、スウェーデンの創業・起業支援政策を検証・研究することによって、日本の失業問題の解決方法としての創業・起業支援政策の可能性を探ることである。2013年度は過去2年間の研究成果を踏まえて、最終的な理論モデルの構築のための作業を展開した。また、他の研究者からの意見・コメント・批判等を取り入れる機会としての海外の学会で論文報告を行った。さらに、そもそもなぜスウェーデンではスウェーデンではSelf-employment(個人事業主)が多く存在するのかについて現地調査及び文献調査を行うことによって明らかにすることを試みた。理論モデルの基本的な設定は、労働者が、①企業に勤めるている(雇用されている)状態、②個人で事業を行っている状態(Self-employment)、③失業状態、のいずれかの状態にあり、①②③の間で労働のフローが発生しているというものである。その上で、Self-employmentを増加させるような政策が行われた時の①及び②への影響、社会的厚生水準へのインパクトを明らかにした。また、社会的厚生水準を最大化させるSelf-employmentの規模、失業状態にある労働者を最小にするようなSelf-employmentに対する政策規模についても検証を行った。ただ、理論モデルでは単純化のために、労働者をhomogeneousであると仮定したこと、期待効用(所得)最大化という行動原理に基づいて労働者がSelf-employmentを選択すると仮定したため、政策以外のどのような条件が異なれば、Self-employmentの規模が異なるのか等についての分析を理論モデルで行うことはできなかった。言い換えれば、Self-employmentを促す直接的な政策以外の要因、例えば、職業教育などの効果については現時点でのモデルでは検証することができず、これが今後の課題(モデル拡張の可能性)であるといえる。
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Global Business & Economics Anthology, Volume I, March 2014
巻: Volume I, March 2014 ページ: 98-107